日本財団 図書館


演劇セッション

舞台表現の21世紀へ〜舞台芸術は社会化されたか

1997年10月27日19:00〜21:46

 

ファーストスピーカー:佐藤 信(世田谷パブリックシアター シアターディレクター)

ナビゲーター:渡辺 弘(東急文化村 企画運営部制作課長)

 

演劇セッションでは、テーマに沿って、日本の現代演劇が社会化されているといえるかどうか、そもそも「社会化」とは何かについてディスカッションを行った。きっかけとしてまずファーストスピーカーである佐藤信氏から次のような主旨の基調報告がされた。

088-1.gif

『個々の集団が、創造する作品を見てくれる観客の広がりをつくりだすことに完結していたのが従来の演劇の社会化だった。そのためテーマが自分達の観客の獲得を目指した身近な問題を取り上げることに終始して、レンジの長いテーマを持てなくなってしまっている。加えて観客の顔が依然として見えておらず、(自分達のという意味だけではない)演劇の観客を本当に獲得しているといえるかどうかが問題である。

また、新国立劇場や世田谷パブリックシアターのように公共の劇場が生まれてきており、私立の民間劇場が廻り(地域)に住む人々にとって他人の劇場であるとすれば、公共劇場は最初から私の劇場と思う人々(税金を納めている市民)が廻りに存在することになるが、そうした公的な目に耐えられるだけの作品が少ないことも大きな問題である。

ここ10年ほど社会化は演劇の基盤整備に伴う制度的な問題だったが、これからは「作品」と「観客」の二つの視点からこの問題を捉える必要があるのではないか。』

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION