組織が重くなればなるほど、我々の存在理由、すなわち演劇そのものに逆行することになってしまう、と私は考えています。経営管理の面で予算がどのような規模のものであれ、必ずその予算の追われ方を少人数できちんと見ていくことが重要です。
予算が全て我々の活動の本質である舞台や作品にいくように、近くから緊密に見張っていくべきです。今、私の補佐役のエリック・バルトとも話していたのですが、中間に立つような人々を置くのは避けるべきで、そのためにも組織は重いものにしてはいけません。緊密な少人数のスタッフが力を合わせて、本当に素晴らしい芸術的なプロジェクトを実現することになれば、その作品は必ず市場で認められますの我々は全て市場の原理に動かされているというのは、認めなければならない事実です。しかし、そうやって認められるまでには長い道のりがあるということ、これはどこでも共通する課題です。もう一つ、手引きになるようなことをお話ししましょう。
私の今までしてきたことと長年の経験から言うことですが、働く場所は選ばなければならない。その場所は大きすぎてもいけないし、小さすぎてもいけない。場所はとても重要になってきます。そして、劇場の設備は必ず良くしなければなりません。というのは、たとえ見えなくても、現代の演出は、現代の発達した先端技術に負うものが多くなっているのです。ですから設備を絶えず新しくしていって、そうした要求に応えられるような状況にしていくことがとても大切です。そのためには多額の投資が必要となり、自治体からの助成が必要となるのです。