ARTS MANAGEMENT SEMINAR(アーツマネージメントセミナー)
ローザンヌ・ヴィディ劇場ディレクター、ルネ・ゴンザレス氏に『しあわせな日々』の制作プロセスを中心に、創造拠点としての劇場の役割や国際共同制作の現状など、マネジメント分野の問題点と今後の展望について具体的に語ってもらいました。
『しあわせな日々』ができるまで
〜創造の拠点としての劇場
10月3日
Rene Gonzalez
ルネ・ゴンザレス
松井●世田谷パブリックシアターの松井です。今日は、進行の方を担当させていただきます。早速始めさせていただきますが、最初に簡単に、今日のセミナーのパネラーのゴンサレスさんをご紹介させていただきます。ゴンザレスさんが運営されている劇場は、スイスのローザンヌのテアトル・ヴィディです。ローザンヌという所は、オリンピックのコミッティのあるような非常に環境のすぐれた、避暑地としても有名ないいところです。私は去年の秋に伺いまして、劇場を見せていただきました。劇場としては、一番大きなものが400席小ホールが100席です。それ以外に、200程度の小さなテントの劇場があります。規模としては比較的小さい劇場なんですが、そこで、今回こちらの劇場に持ってきていただいたような優れた作品がたくさん作られています。ご覧になった方も多いのではないかと思いますが、『しあわせな日々』をシアタートラムで上演しております。ご覧になっていない方のために若干説明をいたしますと、私はパリで観たんですけれど、昨日あらためて日本でその作品を観ますと、やはりヨーロッパの演劇の伝統の厚みといったものを痛感せざるを得ないようなクオリティを持った作品としてその舞台がありました。そういう舞台がスイスのローザンヌという比較的小さな町で年に何本も生み出されて、それが今現在、世界各国のツアーを何班かに分かれて回っている。そのような劇場の活動の持っている「厚み」というものを、私はあらためて痛感したわけです。そういうお話を今日、いろいろゴンザレスさん自身からしていただけると思いますので、是非お聞きください。
本当にアーティストに対して自由を保障できるのは国家だけだ、と私は確信しています。
ゴンザレス●おはようございます(日本語で)。お目にかかれて光栄です。まず私が今日申し上げることを全て、二人の偉大な作家の名のもとにおいてお話したいと思います。一人目はフランスの偉大な戦後の演出家、初めて劇場を公共の名のもとにおいたTNPの創立者、ジャン・ビラールです。ジャン・ビラールはこう言っていました、「私は人よりもよりよく物事を行っているわけではない。人とは違った方法、違ったやり方で何かを行っているのだ」もう一人の私が挙げたい作家は、ヘルダーリンです。ヘルダーリンの言っていることは本当に力を持っているために、皆さんにこのことを言いたいと思います、「私達は何でもない。