やっぱり60%理解し合えれば後の40%は全然違うっていうのがあっても、一緒にできるんだと。これは普通の人が国の違う人や文化の違う人と一緒にこれから生きていくためにも必要なセンスなんじゃないかなっていう感じがすごくしました。ただそんなにシビアにやったわけじゃないんです。
ワークショップのプロセスをお互いの劇団が良く知っているということが、大変大切なことでした。
ロディ●劇作するプロセスにおいても大変興味深かったと思います。アイディアを考えまして、それで次はどうしようかと。「どんなアイディアがある」とか「全然浮かばない」とか「私は分からない」とかいろいろ言っていて。全てのことをきっちり決めて、10月3日に私達は稽古を始めたわけではないんですね。もちろん今日の午後も稽古し直しましていくつかのシーンを変えたりしました。こういうことが非常に興味深くエキサイティングなことであった分、これからの私達の公演でもそれが続くと思います。来年の2月にはマニラで公演しますから、まだまだこういうことが続くと思います。こういった作業を通して、非常にコレクティブな事が、たくさんのアイディアとたくさんの関係性の中でこういった芝居ができてきたということが大変興味深く、自分は一緒に共同でやっているところです。で、そういったいろいろなことが、私達の愛憎の関係性を時々非常に緊張感の高まるものにしたり、緊張がふっと和らいだり、非常に刺激的な毎日を過ごし、これからも刺激的な毎日であろうと考えています。
ソクシー●ワークショップのプロセスをお互いの劇団が良く知っているということが、大変大切なことでした。これは、一般に見られるような演劇作業のように劇作家が非常に完全な台本を作ってそれを完全とするのではなく、演出家が全てを決めるのではなく、役者一人一人も例えばいくつかのシーンを編集したり付け加えたりカットすることにも加わって作りました。こういった共同作業のスタイルで作品を生むということは、これに関わったスタッフの皆さんもよくご承知ですが、大変良い結果を生んだと自分は思っています。
桐谷●何かご質問はありますか。
客1●今日の芝居を見て、どこがPETAの部分か意外と分からないというか、どちらかと言えば黒テントの芝居という感じがすごく強かったわけなんですよ。どのシーンを見ても。どこがじゃあPETAの部分、というかこういうことは絶対に黒テントならしないとか、いかにもPETA的だというのが説明してもらえれば。
山元●案外、僕がテンポとかペーシングとか出入りとかで「もっと早く」とか何とか言って、彼の作ったペースを僕らの芝居のペースに変えちゃったっていう問題は確かにあります。だけど、彼が演出した部分でちゃんと残っている部分も随分あるんですよ。例えば、最初の、オーディションで女の子達が現れて踊るシーン、それからベローナ・バーで歌に合わせて踊っていく群衆の振りつけ、ボクシングのシーンとか、ノールっていうPETAの人がやくざの親分をやったシーンとか、それとボクシングの後に二人が出てきて、だぶるようにして通訳と段々ごっちゃになっちゃうような、ああいうところはPETA。それからもつと後半にもあります。だから実際には半々ぐらいのシーン作りは…。