清水●とても一言では言えません。その両方でもあるし、つまり僕の見たイメージでもあるし、パフォーマーから出てくるものでもあるし、とにかく非常に独特なポジションですね。一つのことでやるわけじゃないんで、例えばいろいろメディアを使ったりもしますし、非常に多様に表現形態が広がっていますよね。いろいろ話す時に、言葉を使って話した方が役者さんとコミュニケートがとれるという人もいるし、あるいは1枚の写真を見てこれはどうかっていうふうにつながる場合もあるし、映画その他諸々の話題というところからも作るし、素材は至る所にあるわけで、ダンスのメソッドからの引用もあるし。
客4●つめて言うと、個人から立ち上がってきたもののみで、なるべく純粋に構成していっているのか、それともそこに今回のテーマだとか…
清水●それはちょっと違うんで、純粋に個人から立ち上がってきたものっていうのは僕は全然信用していないんですよ。それは幻想なんで、そういうことじゃないんですよ、僕が言っている「否応なく押し出されてく利とかいうのは。やっぱりこれは観客のコードの中に入るんで、舞台感情というようなもの、そういうものに入って、そこでの、例えば、舞台上でインターネットをやっていますけど、あれは部屋でインターネットをやるのとは違うわけですよ。まさに今、あそこの状態で、うっているわけです。会話しているわけですね。携帯もそうで、路上を歩いていてかけるのと絶対違うんですよ。したがってまずそのレベルから入って、そこでどうか、っていう話なんですよね。それをやっていたからとか、語れるような目的があってそういうことをしているわけではないんですね。やっぱり始まりは、ピュアでやろうとするがゆえに混沌としているんですね。だから非常にきつい部分もありますけど。ただ、そういう目的は持ちませんでした。「あなたはこうやれば解放幻想のようなところに行けるんだよ」、とか。そういう解放幻想からはすっぱり解放されたので。
●西堂 行人 Kojin Nishido
1964年生まれ、東京都出身。早稲田大学文学部(演劇学専攻)卒、同大学院中退。AICT(国際演劇評論家協会)会員。ハイナー・ミュラー・プロジェクト代表。著書に「演劇思想の冒険」(論創社)、「見ることの冒険」「小劇場は死滅したか」(れんが書房新札)、近刊に「日本の中のハイナー・ミュラー」がある。
●清水 信巨 Shinjin shimizu
演出家、劇団解体社主宰。1957年生まれ。80年代後半、野外をフィールドに〈移動演劇〉シリーズを敢行した後アメリカ公演を経て『The Dog』三部作を発表。95年より「権力と身体」を主題にした『TOKYO GHETTO』の連作を開始。96、97年にヨーロッパ各国、韓国などで上演ツアーを行う。
●大貫 隆史 Takashi Onuki
1974年生まれ。東京大学文学部在学中。専門は英米の作品を中心とした舞台芸術輪。96年には、解体社の文芸部スタッフとしてクロアチア公演に参加。翻訳に「ユーロカズ・フェスティバル芸術監督ゴルダナ・フヌソク女史へのインタビュー」(世田谷パブリックシアター第三号掲載)がある。
●中嶋 みゆき Miyuki Nakajima
女優。1989年より劇団解体社にて活動。