片や『私じゃない』という両極の中間の、一番ベケットのおいしいところを含む芝居が『しあわせな日々』なんですが、さっき言ったような悲しみとおかしみの音楽的なかわりゆき方、それをいかにうまく演じてみせるか。女優にとっての究極のチャレンジを、今日のナターシャは見事に受けてみせたと思います。
永井●この芝居を演ずるには、非常な意欲と勇気というものが必要ではないかと思います。2時間に渡って殆どの台詞を一人で喋られたナターシャ・パリーさんにお話を伺いたいと思うんですけれども、長い間温められて、ナターシャさんがやりたいとピーター・ブルックさんにおっしゃったんで、今回のプロダクションができたと聞いておりますけれども、実際はどうなんでしょうか。
ナターシャ・パリー●今の話は全く違います。間違っています。何度も同じ質問をされたので、可哀想なウィリーは同じ話を何度も聞いています。
ジャン・クロード・ベラン●48回は聞いた(笑)。