苛酷なことを要求されて、皆さんはどうなんですか。
ダンサー1●少しずつ、だんだんこういう形に作っていくんです。最初にまず音楽の練習をして、純粋な音楽の勉強をします。それにあわせてマギーがステップや動きを決めていきます。そこで音楽とステップを少しずつ合わせていきます。ですから確かに厳しいものですが、そうした全体を合わせる方法を新しく見つければいいのです。つまりテキストの部分、リハの部分、音楽、それからステップ、動き、芝居のような部分、それらの全体の調和を取る新しいやり方を見つけます。それはあたかも全員が一つの曲の作出をして楽譜を書いているようなものです。
永井●喧嘩をしているところも、1、2、3、1、2、3、というふうにリズムがあるんでしょうね。では、何か質問を。
客1●作り方と関連した質問かと思うんですけれども、中盤のところで、笛のようなものを吹いてカウントを取りながら規則的な動きを四人ぐらいずつしなから、ピーッと吹く動きをかなりされていたと思うんてすけれとも、そういうことを普段のエクササイズでもかなりやっているのかなと思ったんですれど、むしろこの作品のための練習だったのでしょうか。それとも普段のエクササイズからやっているのでしょうか。
ダンサー1●もちろんこの作品のために作られた動きです。あれは実に単純な運動で、マギー・マランはなるべく日常の簡単な動きへと向かって、動きの単純化に向かった振付をしています。ただ、単純に見える動きという意味であって、やる方にとってはなかなう難しい複雑な動きです。また同時に笛を吹かなければならないので、二つのことを一緒にやるのは大変です。
永井●傍で見ててすごく大変そうでしたね。偉いなあと思いました。
客2●音楽のことについてお聞きしたいんですけれども、音楽が何種類かありましたが特に木琴のようなものを使った音楽など、そういうような音楽のアイディアのもとはどこから来ているのでしょうか。
ダンサー2●この音楽はすべてマギーの友人であるドゥニ・マリオットが作曲したものです。この作品のために特別に作曲したのです。ただダンサーが踊りながらこの音楽も演奏するので、なるべく単純なものになっています。踊りながらする、そして舞台の上でも合わせるためにシンプルな音楽になっています。ただ、いま挙げられたシロフォンを使った音楽ですが、あの時にダンサーが踊っていた虚無のテーマを表す音楽になっています。ですからとても静かな穏やかなメロディーです。で、このドゥニ・マリオットがマギー・マランの振付に作曲をするのはこれで2回目でした。
客2●お聞きしたいのは、文化的な背景が違いますから曲の雰囲気がうまく理解できないのですが、例えば、このシロフォンの音楽から、オルゴールのようなものを私は連想したのですが、フランスでは誰がオルゴールを演奏するとか、お祭りを連想するとか、そういった背景のイメージはあるのですか。
ダンサー3●答えは文化的背景よりも私個人ということになる方もしれません。それぞれ個人が参照するものが違うからです。今の質問に対して私が自分のことを話しますと、あのシロフォンの音楽を聴いて思い浮かべるのは、お星様のような感情です。何かとても軽いもの、つまり虚無の中ではすべてが軽くなっているのではないかと思います。
ダンサー1●確かにドゥニ・マリオットは、私達があの音楽の演奏を穫古した時に「オルゴールみたいに」という言葉を使いました。小さいオルゴールが立てる音、機械的でありながら、何かもろい儚い音、というような指示をも