家を5人ほどフィーチャーしたある雑誌を私が偶然ある知り合いから貰って。そこにワヤンが出ていたんですね。それで、勘でコンタクトを取ったんです。
ワヤン●このCDCは、素晴らしいコンテンポラリーのダンス・グループなので絶対一緒に仕事するべきだと言われたので、長く、どういう風になるか待ってました。それから3年後に東風の話が来たんです。モダンダンスのカンパニーと仕事するのは初めての経験でした。以前には、舞踏とのコラボレーションはありました。93年に東京で1回目をやりまして、その後、タイとインドネシアでその次の年にやりましたが、いつも違う音楽家と共演いたしました。今回のプロジェクトでも新しい人と会い、新しい音楽とも会っています。で、この人(近藤)はエレクトロニックの音楽を使う方です。私はこの電気関係の音楽にとても興味を持っているんです。なぜなら、それはとてもマントラに似ていると思うんです。今、僕はバリの人達とも別の仕事をしています。同じグループ、同じ場所でばかり演奏していたら僕の音楽は死んでしまうのではないかというような考えを持っています。コンテンポラリーの音楽というのは、いつもいつも変化しているものであって、近藤さんが毎日毎日違う演奏をされるのと同じですね。
竹屋●少し補足させていただきますと、うちのプロジェクトの1回目の作品の時は琴と三味線の方とコラボレートして、今回は近藤さんだったので、近藤さんの電気楽器というか、電気系の楽器に対して、マントラとのある種の共通項を彼は感じたんじゃないかと思うんですけれとも。
ワヤン●ありがとうございます。
竹屋●ナラポンさん、お願いします。
ナラポン・チャラスリー●こういう形でいろいろなアーティストとコラボレーションするのは僕にとっては初めての経験です。以前はいろいろなアーティストと仕事をするのはちょっと怖いなと思っていました。今回はとても楽しくやっていますし、こういうコラボレーションは楽しいです。やはりー緒に仕事をする時には相手の人をよく知らないといけないと思います。啓子さんとは7年前からの知り合いです。そのときは啓子さんと会ったのも本当に短い時間でしたし、他のアーティストを誰も僕は知りませんでした。ずっと西洋の人達と仕事をしていることが長かったものですから、日本に来て啓子さんと日本の方達、インドネシアの方達と仕事をするのはまるで家に帰ったように感じます。ここで本当にたくさんのことを学べています。西洋の方で勉強してきたことというのは外へ出すことだったんですが、もっと中を見るということを勉強しています。
竹屋●今田、実際に作業をする期間としては、再演ということや、経費の問題もあるので、近藤さんと1週間ぐらいでしょうかね。三井さんとか日本側のダンサーは、さまざまな事情で5月に少し思い出しをやって、8月の終わりからここに向けて約1ヵ月やってきて、ワヤン達とはICEぐらい、公演を入れて2週間ぐらい作業をしました。短い、まあ長いとはいえないと思うんですけれど、その中で一番、作業しながら大変だなあと思ったところと、こういうところが楽しいなというのを、では、近藤さんから。
近藤●僕が一番困難だったのは時間に遅れないように来ることで…(笑)
竹屋●ちなみに近藤さんは毎日遅れておりました。
近藤●(9月)19日にヨーロッパから帰ってきまして、飛行場からそのままリハーサルに入ったんですけれども、とにかく、時差で眠れないんですよね。でも朝の11時からリハーサルやるかなあ。
竹屋●明け方5時まで飲んでたっていう話も聞いたことあるけど。