国内作品
A.G.S (アーティスツ・ギルド・オブ・サッポロ)
『亀、もしくは…。 』
(スタッフ)
原案:カリンティ・フリジェシュ
訳:岩崎悦子(国書刊行会編)
脚本・演出:斉藤歩 舞台美術:高田久男 照明:熊倉英記
衣裳協力:田端乃里子 AGS制作:嶋智子/渡辺悦子 ほか
(出演)
松崎霜樹/山野久治/宮林康/斉藤歩
A.G.Sは、今回初めての東京公演を実現することができた。有料入場者数が750名を越え、予想以上の健闘だったと結論されよう。また、次回の東京公演の布石として、企業から多くの招待者を呼ぶことを計画した。結果として、トヨタ自動車株式会社やアサヒビール株式会社から多くの社員の方々が見に来られた。やがては、自分でチケットを購入してくれる観客になってくれることが期待される。この公演が実現できたのはフェスティバルがあったからである。地方を拠点とする芸術団体にとってフェスティバルは絶好の機会であり、より多くの団体の招聘が望まれよう。海外カンパニーより、まず足下の日本を見据えるべき時期である。なお、この公演はシアターテレビジョンで収録、放映された。

『郵便配達夫の恋』
(スタッフ)
演出:吉川徹 原案・脚本:砂本量 原作:真柴あずき
音楽:岩代太郎 美術:島川とおる 照明:原田保
衣裳:小峯リリー 音響:大坪正仁
舞台監督:二瓶剛雄 演出助手:豊田めぐみ ほか
(出演)
鈴木保奈美/吹越満/村田正雄/峰岸徹
鈴木保奈美の初舞台という話題性もあり注目度が高かった。オリジナル作品として製作、各方面で活躍中のスタッフを揃え、4人という少数の出演者の持ち味を十分に生かした演出がなされた。観客の評判は良く(アンケート回収率は5割を越えた)再演の可能性もでてきた。ホリプロとしては、公演回数17回、総動員数約4,000人という規模の舞台製作は新たな世界へのチャレンジであったが、これを機に新たなジャンルの作品創りに励み良質のエンターテイメントを提供していきたい。

劇団解体社 『零カテゴリー』
(スタッフ)
作・構成・演出:清水信臣 舞台監督:三津久
技術監督:秦岳志 照明:(有)アンビル
音響:水谷雄治 ほか
(出演)
日野昼子/熊本賢治郎/中嶋みゆき/小杉佳子/森山雅子/
野元良子/高田美穂/山形美津子/市川愛子/
長谷川知子/浦添尚文
身体と空間にこだわり、独特の演劇スタイルを確立している解体社。今回の新作でも、その表現は健在。公演後この作品は、この舞台が表象しようとしている「新たなプリミティヴィズムによるコミュニケーションの再構築」という主題が認められ、メルボルンフェスティバル'98と香港芸術節'99に招聘されることになった。(インターナショナルとしての演劇)をめざす解体社としては、こうした海外上演の場が提供されたことに、さらなる「持続の理由」を見いだしている。

『ライオンのあとで』
(スタッフ)
作:ロナルド・ハーウッド 訳:出戸一幸
演出:高橋昌也(芸術総監督) 美術:朝倉摂 照明:沢田祐二
衣裳:黒須はな子 音響:高橋巌 音楽選曲:悳俊彦 ほか
(出演)
黒柳徹子/小鹿番/有田麻里/鷲生功/石住昭彦/中上恵一
銀座セゾン劇場が海外秀作シリーズと銘打ち、黒柳徹子主演で企画している作品の第9作目で、『ドレッサー』の作者R.ハーウッドが描いた、大女優サラ・ベルナールの晩年の物語。今回も黒柳の個性を強烈に投影した舞台となった。サラが出演した数々の作品のせりふをおりこみつつ、時にはユーモアを交え展開する手の込んだ戯曲を、かみくだき巧みに演じる黒柳に観客は魅了された。観客は黒柳ファンの女性中心だが、シリーズ作品の質の高さから層も広がってきた。

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