遊◎機械/全自動シアター『こわれた玩具』
(スタッフ)
作:高泉淳子 構成・演出:白井晃 舞台美術:小竹信節
音楽:中西俊博 ほか
(出演)
高泉淳子/白井晃/さねよしいさ子/陰山泰/富浜薫/冨岡弘/
原田砂穂/笹岡兄
遊◎機械/全自動シアター2年ぶりの新作。「今、人は家族に何を求め、それが崩れ去った時何を取り戻そうとするのか。」というテ―マを、とあるおもちゃ工場を舞台に、滑稽で、物悲しい物語で展開し、多くの観客から共感と、家族や人の自立、親子の幸せについて多くの議論を呼んだ。また、小竹信節氏による、登場する家族を象徴するような美しい舞台美術、中西俊博氏の書き下ろしの音楽等、総合芸術として高い評価を得ることとなった。

第三エロチカ『オイディプス,WHY?』
(スタッフ)
作・演出:川村毅 美術:上田淳子 舞台監督:向井一裕/JAF
照明:?フ氷?_ョ 音響:原島正治 ほか
(出演)
宮島健/吉村恵美子/哀藤誠司/坂本容志枝/工藤繭峰/
水口勲/笠木誠/伊澤勉/野並哲郎/登山貴弘/高街叡法ソ
佐名木仁/永野裕史/臼井武史/友田憲宏/清田直子
今回の川村毅による新作公演は、東京国際舞台芸術フェスティバル作品、世田谷パブリックシアターとの共催ということで、劇団公演とはまた違った意識を全員が持とうと取り組んだ。作品内容は普遍的ドラマ、ギリシャ悲劇を現在の東京にアクチュアルなものとして構築しようというもので、現在37歳の川村毅自身の経てきた、少年期に高度経済成長期を過ごし20代にバフル期を経た男の物語として描いた。この様に自らの物語を描くことは初の試みであり、それにより新たな一歩を踏み出した。観客層も普段以上に幅広く、様々な事項が「過程」乍ら、意識の上でも、成果の上でも方向が明確になった意義ある公演であった。

『ダンスセレクション'97』
(スタッフ)
舞台監督:森岡肇 照明:杉浦弘行(大庭照明)
音響:石井浩美(シアターテック)宣伝美術:尾野慎―(ジニアス)ほか
19日 丹野賢一作品「008-MIRROR」
構成・装置・身体:丹野賢一
音:松本じろ/市本将史 照明:吉岡靖
衣装:尾竹宣彦 装置デザイン・装置制作:平山徹
20日 厚木凡人作品
「テンモーションズ」「ディスタンス」「タンブリング」
出演:林あゆみ/小野栄子/黒須明美/上原有加/
厚木三杏(SDB)/紀伊秀明/上原基史/野辺誠治/
遠藤康行(SDB)/厚木凡人
21日 宇野萬作品「滴(SHIZUKU)」
出演:宇野萬/志賀美也子
23日 笠井叡作品「惑星」
出演:笠井叡
24日 武井よしみち作品[大欠伸]―呼吸する言葉にかえて―
出演:武井よしみち
25日 田中泯・独舞「知の歩測・生理スル」
踊り:田中泯 音楽:野口実
8回目を迎える「ダンスセレクション」は、これまでも多彩な顔ぶれを紹介し、様々なダンスパフォーマンスを楽しめる環境をつくってきた。アーティストが与えてくれる舞台のエネルギーは、新たな魅力と刺激を求める観客層のネットワークを着実に拡げている。今回は、6名の個性豊かな男性アーティスト、丹野賢一、厚木凡人、宇野萬、笠井叡、武井よしみち、田中泯がその独自の世界を披露した。既に長い経験を積み重ね、支持を不動のものとしているベテランから、ユニークかつ斬新な表現方法で話題を呼んでいるニューウェーブまで、個性が各作品に鋭く投影された。

能楽 神遊『船弁慶』
(スタッフ)
演出・監修:観世榮夫 舞台美術:金井勇一郎 ほか
(出演)
一噌隆之/柿原弘和/観世元伯/観世喜正/宮増新一郎 ほか
能楽堂を飛び出し、能「船弁慶」を4日間5回にわたって続けて演じた今回の試みは、能楽界に新しい風を吹き込んだだけでなく、今までの上演形態ではできなかったこと、例えば同一演目の上演により観客側としても舞台の見比べが可能になったり、好きなときに行けは舞台を観ることができるといったことを、求めた通りにかたちに残すことができたといえよう。若手と呼ばれる能楽師5人が求めたものは「能」をもっと身近に感じてもらえること。フェスティバル演目ということで「お能のお客様」というイメージの固定層以外の特に若い世代や、多様な興味と視点を持つ観客層が多く、アンケートの回収率も5割を超える結果となった。

前ページ 目次へ 次ページ