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太田委員 今回、過疎地域を歩いて行政の方とか住民の方ともお話ししたんですけれども、その中で一番出てきた問題は、結局、働き場所がなくて若者が出ていっちゃうと。これは、何度もくり返されているんですね。私もそれを聞きながら、結局、過疎問題というのは働く場がないということに尽きるのかなというふうに考えていたわけです。だけど、ほんとうにそうかなと。これは、私の前からの持論めいたことなんですけれども、若者が出ていくというのは、働き場所がないからだけじゃないんじゃないかと。やはり、若い人は基本的に、若い人のエネルギーから言うとわいわいがやがやの喧騒の巷のほうが向いているんですね。ですから、そういうのがテレビやなんかを見ながら刺激されるでしょうし、基本的に働き場所がないというのはむしろ口実になっている。こういうことを言うと非常に意地悪な言い方で怒られるかもしれませんけども、そういうことがあるんじゃないかなと。過疎地は若者に嫌われているんじゃないか。―これは重大発言になっちゃうかもしれないんだけれども、そういう気がしているんですよね。

だから、若い人にいかに、地域にとってあなたは必要かということを知ってもらう。おれはこの集落でこういうポジションなんだと。おれがいないと、野球で言えばサードだから、サードがいなきゃ困るじゃないかと。そういう使命感みたいなものを、それをポジションと言っているんですけれども、ポジションを意識させるような日ごろからの集落活動というか、そういうものが必要なんじゃないかと。

それから女性にしても、これは前から国土庁でしたか四全総の点検作業かなんかのときに、首都圏の若者の故郷への回帰志向を調査したら、圧倒的に女性は回帰志向が低かったという調査結果があったはずなんです。

やはりいろいろと原因はあるんですけれども、要するにコミュニティが古いんだと思うんです。独特の古い家制度、うちの嫁という古い感覚が、今の若い女性に嫌われているんじゃないかと。だから、いかに女性にとって暮らしやすい集落、女性に優しい集落をつくっていくかということを、集落自体もそうだし行政なんかも一緒に協力して、考えていくことが必要なんじゃないか。これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そのように考えております。

柴田院長 ありがとうございました。それじゃ一番お若い小田切さん。

小田切委員 今回、2つの村に現地調査ということでお邪魔をして、地域の方、それから行政の方といろいろと話す機会があったんですが、例えば奈良の十津川村では、先ほど青野先生がおっしゃっていましたけれども道路の問題というのが非常に強調されていましたし、もう一つは産業というか、太田先生がおっしゃられた働く場所ということも含めてですけれども、例えば月5万でいいと。あとプラスになれば何とかなるんだというふうな言われ方をしていました。はっきり言って、これだという過疎対策の決め手というのはな

 

 

 

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