日本財団 図書館


部にあってもそこからかなりの規模の都市にすぐアプローチできるとなると、もうそこは居住地としてはいいという話になる訳です。ですから、山間部だけでなく、中間地帯もそうなんでしょうけど、それぞれの地域区分をもうちょっと、交通条件、立地を考えてやらないと、山間部にあるというだけじゃまずいんですね。ですから、道路の関係か、母都市との関係がどうだとか、交通状況とか、その辺をきめ細かくとって、過疎地域の区分をやったほうがいいんじゃないかなという気はしますね。

柴田委員長 ありがとうございました。村井先生

村井委員 今おっしゃったのと全く同感ですね。去年とことし調査にかかわりまして感じましたのは、先ほど交流人口云々とおっしゃいましたが、もう過疎の地域の人は昔の人口に戻そうという希望は全く捨てているということですね。そういうことをするよりも、もうちょっと実質を高めていくという方向に来ているんじゃないか。それが、ある種のあきらめに似た明るさというふうなものになっている。といって、ほんとうの解決は何一つないんですが。従来は地縁的あるいは血縁的な共同体がやっていた社会保障的なものを、もう自治体がほとんど代替してやってきている。先ほどちょっと申しましたが、そういう点での行政の果たす役割はますます大きくなってきているということだろうと思うんです。

そういうことが一つ。

 

リーダーの重要性

それから去年は、芸能とか文化財なんかを活用して活性化している過疎地を回りましたが、そういうところではリーダー、世話人の役割が非常に大きかったですね。ところがことしの問題については、特定の熱心な人がいても解決できる問題じゃない。それをはるかにオーバーした問題があるというふうに思いました。そのあたりが、観光資源のないところはどうしたもんだろうとおっしゃいましたが、あるところは、そういう熱心な人が出てきますと、村の人なんかをそっちへ向けて活性化できるという要素はあるんでしょう。しかしことし我々に与えられた課題について言えば、もうそういうものを超えている。やっぱり行政の問題なり国の問題じゃないかなということを感じました。そんなところです。

柴田委員長 ありがとうございました。正直に申しますと、平成3年ころに調査会から委託を受けて国土庁の調査で、「社会増のあった過疎市町村についての調査」というのをやったんです。そのころまでは、まだ何とか社会増ができないかということを考えたんですね。その直後あたりから交流人口というのを言うようになって、それから早稲田にいる宮口伺道さんが、もとの人口に戻すことを政策目標にする必要がないというのを過疎報告書の中でも書いたんですよ。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION