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です。よほどすごい観光資源がないとね。だけど、ほどほどに観光資源というものがあって、何とかなるんじゃないかという夢がまだつなげるわけです。じゃあ観光資源がないところはどうするんだろうなと考えた場合、非常に難しいなと思いますよね。

 

過疎地の意外な明るさ

もう一つは明るさですね。恐らく皆さん共通の印象を持って帰っていらっしゃったんじゃないかと思うんです。過疎地域というのは、東京でイメージしていたよりもずっと明るい。これは、ほんとうに驚いたですね。私は、仕事の関係で地方にはよくお邪魔をして、住民の方やなんかともお話をする機会があるんですけれども、今度、過疎ということを意識して歩いてみて、ほんとうに明るいというのに驚きましたね。この明るさは何だろうということを考えた場合に、やはりーつは、生活環境の整備というのがかなり進んでいて、日常生活にあまり不便がないですよね。特に地域内の生活道路などはかなり整備されてきて、住宅のあるところにはもう大体車で行けるようになっている。まだまだ危険な箇所があるとか問題はあるようですけども、非常に道路が整備されているとか、福祉施設も結構立派なものができているようです。そういう生活環境の整備で、当面、日常生活に特に不便はない。過疎地ですから限界がありますけれどもね。とにかく、国の政策を支えにして自治体は、みんなほんとうに一生懸命やっていますよね。そういう印象を受けました。過去、過疎法ができて四半世紀の行政の成果というのは、これはかなり評価していいんじゃないかと思います。

ただ、その明るさなんですが、印象が明るいから結構だでいいのかということを考えてみますと、例えば集落の代表の方なんかとも話したんですが、話題になることはみんな暗い話ばっかりなんですね。働き場所がなくて息子たちは出ていってしまうとか、そういう話ばかりなんです。何というか、あきらめというのか、明るさと言うか、それが過疎のおおらかさじゃないかなという印象を受けたんです。

柴田委員長 村井先生、それはちょっと異論があると。

村井委員 いえ、そこまで分析したわけじゃありませんので。先ほど、昭和40年代のときはもうちょっと一生懸命にやったというようなお話がありました。裏返して言えば、どんどん人口が激減する、一体どうすればいいんだと真剣に取り組んだ時期は確かに終わったんだろうと私も思います。私は去年からの新参者なのでそのあたりの雰囲気がわからいんですが、今おっしゃった社会的ないろいろな環境改善が、都会並みとは言わないまでも進んできて、それは行政なり国レベル、町のレベルでいろいろとやってきて、何とか生活できるのではないかというような、そういう苦しい中での体験が、多少、辛抱強くしたのかもしれませんし、希望を持たせたという、何か風雪に耐えた強さみたいなものが、少

 

 

 

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