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ほうがいいだろうというふうに私も思います。やはり先低どの青野先生の話にもありましたけれども、例えば福祉的な要素が強い集落というのがあると思うんですが、そういうところに住んでいらっしゃる方々は、やはり、今、住んでおられるところが一番いいんだよということでしょうから、その方々に集落移転してもらうということはなかなか難しいと思うんですが、その一方で、若い人たちがその地域に残れる、あるいはUIターンをしてきて戻れるような、そういう条件整備は村としても必要なのかなというふうに思います。

 

神楽をやりたいのでUターンする

それと、これはちょっとおもしろいと思ったんですが、島根県の羽須美村のほうでは、中国山地で神楽が非常に盛んでして、その神楽をやりたいがために戻ってくるというふうなお話をその集落で伺いました。それぞれ、中国山地にはいろいろな神楽があって、それぞれ自分のところが一番だというふうに思っていらっしゃるんですが、それをやりたいがために戻ってくる。例えばお正月とかに帰ったときにも、おまえ、そろそろ戻ってこいよというふうなことで、そういうのをきっかけとして声かけをするというふうなことが実際にあって、それで戻ってきている人もいるんだという話がありました。ですので、文化とか芸術的なことというのもそういう意味ではきっかけになるし、そういうことをきっかけにしながら、自分の地域はやっぱりいいんだよというふうに言えるリーダーというか、地域での指導者層がいるのといないのとでは、やはりその集落が活性化する、しないというところでは非常に違いが出るのかなという思うな気がしています。

柴田委員長 ありがとうございました。太田さん、どうぞお願いいたします。

太田委員 過疎地域のパターンというのは大体みな同じで、農業もだめ、林業もだめ、それから鉱山も掘り尽くしちゃってだめ。働く場所もない。嫁さんもこない。ないない尽しで、あるのは豊かな自然とお年寄りの数だけというような、そういうパターン。ただ、今回、私が調査に行きました秋田県の阿仁町、それから長野県の上村、この2つなんですけれども、この2つは偶然に共通していたんですが、非常に観光資源に恵まれていて、そこに逃げ道を見つけて、今、一生懸命やっているんです。特に長野県の上村は、長年の悲願だった飯田市に結ぶ矢筈トンネルというかなり長いトンネルを貫いて実現させちゃったわけです。それで、一気に飯田から風がトンネルを通って吹いてきて、地域全体、単に経済的な効果だけじゃなくて、心理的にも非常にやる気が出て、住民のほうも、やろうじゃないかというような雰囲気になってきているみたいですね。秋田県の阿仁町も、特にあそこはマタギの里といわれまして、マタギというのは非常に神秘的な狩りをする集団で有名らしいんですけど、民俗文化としても、観光資源としても非常に魅力がある武器になると思うんです。ただ、決定的な決め手というのは、観光というのはなかなか難しいと思うん

 

 

 

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