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元気のよい集落は産業を複合化

別の集落に行きましたら、林業だけじゃなくて農業と組み合わせてやっているところでしたが、そこは、唯一安定している地域でした。そういう意味では、生業を多角化するとか複合化することが、強い力を生み出す原因になっていると思いました。

先ほどもちょっと申し上げたことですけれど、ここはほんとうに、それぞれが隔絶した世界に生活しているわけで、隣の村と一緒にどうこうするということはほとんど意味がないわけで、結局、村役場が直接その集落の人につながって何かを指示していくという形になっている。こういうのはどういうふうに考えていったらいいんでしょうか。行政の果たす役割がますます大きくなってくるということでしょうし、それはまた、裏返せば村落単位じゃなくて、広域的なやり方で対応ができる面も出てきているということなのでしょうか。

明るい面のお話が出ましたが、大島の東和町は海に面しているのでほんとうに明るいんですが、これは広島県とか山口県あたりは早くからアメリカなんかに移民をしているというような体験があるものですから、少々のことではくたばらないという、そういう底力、したたかさがあって、したがって何かスケールの大きいところがある。元気がいいんでしょうか。日本一高齢化率の高い町でありながらえらい元気がよくて、高齢化率が高いのはわしらが元気だからとか。ともかく明るかったですね。

この東和町は、橋がかかりましたのでもう離島ではなくなりましたが、橋がかかり、内地と一体化した途端に今まで離島の一番東の果てであったところに一番人がくるようになったと。これも、逆転の論理みたいなものが働いていて、ちょっと興味を抱かされました。これには施設づくりを非常にうまくやったということもあるんだろうと思うんですが、そういう点でモータリゼーションあるいは通信網なんかの発達によって、過疎化を克服する条件も違ってきている面もあるのではないかというようなことを感じました。

柴田委員長 ありがとうございました。小田切先生は十津川村と羽須美村へ行かれたわけですが、羽須美村は過疎を逆手にとる会の会長さんのいらっしゃるところでもありますし、十津川村はまたものすごく不便なところでもございますし、何かお話があったら聞かせていただきたいと思います。

小田切委員 一つはどちらの村にお邪魔をしても感じたことは、意識するしないにかかわらず、首長さんは集落というものを幾つかのタイプに分けて見ているというふうに感じました。一つは役場がある集落とか、基幹集落、あるいは中心集落といわれるような集落に対する政策と、それから基礎的な集落に対する政策を分けていらっしゃる。無意識な部分もあるのかもしれませんが、そういうことは感じました。やはり、これは分けて考えた

 

 

 

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