一方、三次産業的な食堂みたいなものも随分成功していますけれども、ここではうんと農業をやりたいという感じでしたね。だから、地域によって違うんでしょうが、多くのところでは、今、青野先生のおっしゃったような感じかも知れません。
青野委員 今、先生がおっしゃったように、集落自身がそこでの農林漁業を基盤にして発展する可能性がある集落というのは、これは一つのタイプだと思うんです。
僕が行ったような集落はもう一方の極端の例で、そこはもう生産基盤がないような集落で、それが維持されているのは集落の外で所得を得ているから、あるいは年金が入ってくるからなんです。これが二つ目のタイプです。このばあいは、集落の存続は時間の問題だということになる。
もう一つ、僕が日之影町で行った集落はわりと条件のいいところに立地している。20代、30代の後継者が戻っているわけです。戻ってきているんだけど、必ずしも農業が基盤じゃなくて、半分農業で半分兼業で、家計としては農業収入と兼業収入でやっている。こういう農家が多い集落が3つ目のタイプです。ですから3つくらいのタイプに集落を大まかに分けますと、政策というのは、その3つに対して同じにやったら絶対だめなので、第1のタイプに対しては農業なり林業の振興というのが中心になります。それから、第2のタイプについては、おじいちゃん、おばあちゃんが住んでいてほっとくわけにいきませんし、そこのところは福祉政策でデイケアをはじめいろいろなことでカバーしなくちゃいけない。しかし、亡くなっていったらそれで集落は無くなる。
問題なのは、第3のタイプだと思うんです。これは、そこでやっている農業とか林業が明るければ次の世代に移るでしょうけど、それが明るくなければ、ゆくゆくは、今、20代、30代の人が30年後には、後継者が戻ってこなければ第2のタイプの集落と同じ道を辿ることになるわけですよね。ですから、3つのタイプの集落に対しての政策をきちっと分けなくちゃいけないんじゃないかという感じを強く受けました。
柴田委員長 ありがとうございました。村井先生お願いします。
村井委員 柳谷村に行きましたときの印象は、第一次産業の山林がすべてといってもいいようなところですが、御承知のようなことでなかなか木が売れない。だけれども、林相としては年数のたった非常にいいものがあるんですね。ですから、もうちょっとの我慢、もうちょっと辛抱と、将来に希望をつなぎながら来ているということなのですが、その間にも若者がどんどんと出ていって老人だけになって、もうここは私が死んだらだめでしょうというようなところがどんどん増えてきている。ところがその一方で、その隣の集落では昔から、長男は必ず村へ残る、次男以下は出ていくという古いしきたりがあるものですから、長男が残って頑張っている。長男同士で頑張っている。意外と古いものが新しい活力になるという要素があるのかなというのが一つ。