柴田委員長 青野先生。
青野委員 僕が行った2つの町では、別の扱いをしているんです。長崎県の五島列島の玉之浦町では、自然集落は20あるんですけど、ほんの1世帯とか2世帯になってしまったものをあわせて「郷(ごう)」と呼んで、そこに郷長、トップの人を置いて、そしてまた班に編成してという形で、行政的には集落を総合として扱っているんですね。だから、先ほどの国土庁の調査で言うと、もともと20あるはずのが、町の集落というのは、今、郷で8ですという話しになるんです。8を見る限り、なくなるということはないわけです。しかし、実際は20の自然集落の単位で見ていきますと、もうなくなったところはあるし、20幾つかあったのがもうなくなって、今、20になっているわけですね。ほんの1〜2戸あるのも一緒にしていると、一緒にする場合、集落が連担しているとスムースなんですけど、飛び離れていますと一緒にするのが難しいですね。この町は漁業集落が多いんですけど、入江のところに一つずつ小さいものがあって、それがぼつぼつなくなるわけです。そうすると、郷でくくってしまっても入江のどん詰まりのところにありますから、相互に行くのに時間はかかります。行政としてはそれしかないんでしょうけど、集落としては別の歴史を持ったはずなのがなくなっていく。行政的にはもっと大きな地区である郷で対応しているという形です。今回の調査でも、集落というのを農業集落とか自然集落ということに限定しませんでしたから、僕が言った玉之浦町ではそういう形でやっているんです。
もう一つの調査地は、宮崎県の日之影町。そこでは、自然集落を単位としているんです。これは、山腹とか山間部に離れて集落があるもんですからあまりー緒にできないという発想もあるんでしょうけど。ですから、数としてかなりたくさん集落があって、私が行ったところは9戸で35人の集落だったんですけど、いろいろな行事から何からワンセット持っているわけです。集落が、今、なくなるという国土庁の調査のばあいは自然集落についてのことで、それをどういうふうにくくっていくかというのも一つの政策としてあるんだなという感じを受けましたね。僕は、集落というのは自然集落が本来の集落だと思っていて、その集落がなくなってきたときに、行政はどういうまとまりでやっていくかというのが問題なんじゃないかと思います。
また、国土保全というのは、集落と直接結びつけるとうまくないんじゃないかなという気がしますね。意識して国土保全をしているというのじゃなく、たまたまそこにいたから