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農地、廃屋、墓というふうな、いわば個人的な所有にかかわる部分について、非常に難しいというふうな意識が出ております。これは、いわば集落再編なり限界集落の対策において一番難しい部分になるというふうに認識されていることになります。

広域的な維持・管理をする方法、その結果についても危惧されておりまして、広域的な対応がうまくいった場合、それが逆に集落から人を押し出し、集落保全そのものの意義についても問い直される事態が来ることも考えられると。これは、農水省的な観点からの結論でございますので、非常に疑問を持って問われていると。ただ生活面、それからいわば地方行政の面から見た場合では、国土保全のためにも、いわば林ことか農地と住むところを分離する、職住分離というのは、一つのあるべき選択としてはあり得るのではないかというふうに考えられます。これについては、どのように考えるかというのは考える主体によって結論の取り方も違ってくるかと思っております。

先ほどご紹介しましたように集落再編で一番難しい、限界集落対策で難しいというのは、集落政策の形成に向けた課題の部分でございます。これは、やはり限界集落というのは、先ほど見たように将来に向けての3%にしかすぎないということ、それから山の端にある一部の集落問題であるということで、村全体としては政策が形成されにくい傾向がございます。まず、これが第1点でございます。

第2点としましては、第2パラグラフにあるように、集落の消滅が穏やかな死を迎えるよな形でございますので、なかなか住民サイド、集落に住んでいる老人サイドでも考えにくいと。それからボランティアの人のヒアリングにおいても、山間部の高齢者は山間部で余生を過ごすことを希望しており、心の問題を考慮すると老人ホーム等への入所も進まない状況にあると。こういうふうな難しい問題があります。

また次の問題としては、やはり生活基盤が変わる。それから、そういう変わる人に対して重点的な手当てをするのは、政策として難しい。ある町村では、町村合併より難しいということで、いわば行政指導では進みにくい点が指摘されております。これは、住民サイドの発議が得られない以上は、だれが発議者になるかというふうな重要な問題を含んでおるかと思います。いざというときは同居できるような跡継ぎ世帯の住宅資金を拠出したりすることはできようかと思いますが、いずれにしても、いわば再編を名目とした形での政策形成が非常に難しい状況にございます。その中で、担当者では、この問題について今後大変重要な問題になり得るというふうな意識はございますので、この二極分化をどういうふうに調整していくか、指導していくかということは非常に重要かと思います。その際には、住民の心の問題というのが大変な問題になる点だと思われます。

この調査の結果では、結論としては、だから集落機能の維持のために、国土保全のために集落は維持しなければいないというふうになっておるんですが、過疎地域も、農家以外

 

 

 

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