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ふうにして割り戻してみますと、消滅集落の消滅確率を見ると、明治以前の集落よりも戦後開拓のほうが消えやすいというふうな結論が出ております。これは、やはり戦後、人口が一時的な急増期に―木材、また炭焼き等でかなり山の中に入った方が、消えやすかった。また遠隔な集落におきましても、明治以前より歴史があるところはそれなりの地力があるというふうなことが推定されます。

そこで、この調査ではタイプA、B、C、D、Eと点線で囲んでおりますけれども、このような形で調査の類型を進めまして、各市町村にアンケートを行っております。これで、特に限界集落を3つに分けまして、タイプA(限界レベル1)として、今後、10年以内で無住化する可能性があるところ。タイプBとして、今後10年間で衰退し、その後、無住化する可能性のあるもの。それからタイプCとして、無住化しないが衰退すると。有体に申しまして、「l0年以内に消えるかもしれない。」それから「10年は大丈夫ですけど、その後で消えるかもしれない。それから「消えないけど衰退する」という3つの限界レベルとして設定しております。

これに基づいて、今後の集落の動向というものを調査してみましたところ「今後10年間で消える可能性がある集落」というのが0.8%。それから、「今後10年間でかなり衰退し、その後は消える可能性もある集落」が2.3%ですから、将来、消える可能性があるところというのは0.8+2.3で3.1%というふうな結果が出ております。これは、その他の農水省の調査等でも大体似たような可能性になっております。

もう一度、くり返しますと、「過去10年間で消えた集落」が1.5%。「今後10年間で消る可能性がある集落」が0.8%。それから、「今後、10年間でかなり衰退し、その後は消える可能性もある集落」が2.3%というふうな、1.5、0.8、それから2.3、将来で3.1というふうな組み合わせになっております。

これから得られます知見といたしましては、過去10年に比べて、これからの10年は2分の1くらい消えにくい状態にはなっているというふうなことが言えます。また将来に向けては、ここ10年には消えないけれども、将来の可能性では3%ほどというふうな形ですから、かなりの確率をもって消えるところが出てくるだろうというふうな、これは意識調査でございますので、自治体の担当者が見込みを持っておると。その意味で、ある程度、無住化集落なり限界集落の意識というのがあることが伺えます。

続きまして、今度は消えるだろう集落の規模について聞いております。これを見ますと、集落規模の9戸以下ではかなり消えると。その逆に総戸数が20戸以上では消滅の可能性がある集落はわずかであるというふうな形でございますから、20戸以上は一応セーフと。だけれども、19戸以下の場合はかなり危険信号になっているというふうな形がここで示されております。

 

 

 

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