まり物事は片づいたかということにはならないで、公共施設の整備などで非常にいい面も有りますけれども、こういったような老齢化とか人口減少とかいうのは、いろいろな政策努力にもかかわらず状況としてはあまりよくなっていないというのが実情なんですね。
それで、今、お聞き及びのように、49年、56年の調査でいろいろとやっておりますときには、私だけの感じかもしれませんけど、むしろ今の時点よりもちょっと情熱があったという感じは否めないんだろうと思います。このような立派な調査があるのに、改めて集落のことを勉強しようというのは一体何なんだろうというのが、最初からこの調査を始めるときからの問題だったわけです。一つは、必ずしも再編成をしなくてもいい方法というのをもっと考えていっていいのではないかと。一つは人間の生活の面。もう一つは国土資源の管理という面から考えていったらいいのではないか。もう一つは、文化とか環境問題、こういうことを考えていったらどうかというようなことがあったんだろうと思います。
集落とは何か
これとも関連するけど、今、改めて問わなきゃならないのは、集落というのは一体何なんだろうと。これは第2回目の研究会のときにも問題になったんですが、農林業センサスで使っている集落というのが、何か慣習的にずっと使われている。そして、そのときに調査会のほうからお出しいただいたペーパーをちょっと読み上げますと、「地域住民の定住維持のための最小の地域単位であり、住民の日常の生活と生産にかかるさまざまな協同、相互扶助等の人間関係が古くから継承・維持され、また必要に応じて新しく形成されてゆく地縁的集団と住民生活の基礎的な地域単位」というふうに言われているわけですね。そして、それが共同作業や水利、共有林の管理等の生産面、冠婚葬祭等の生活画で密接に結びついているが、自治会等の自治組織の基礎的な単位であったり、市町村の行政においても基礎的な地域単位として機能していると、こういうことが一応定義されているんですけれども、今、お聞き及びの調査書、あるいは皆さんでおやりいただいた現地調査からでも、必ずしもこういう図式に沿った形で集落というものが考えられていいという印象もあるんですね。偶然なんでございますけれども、きょう、ご紹介があった―第1回の委員会からご紹介がされているんですけど、49年と56年に調査した町村のうち、愛媛県の柳谷村、それから56年にやった中では長野県の上村、それから十津川村、そんなところは、今回の調査した中にも入っているんですね。前に調査をしたときにも、集落というのが大分変わってきたなというようなのが、特に56年の調査くらいには出ているのでございますけれども、今、集落というものは一体何だというのを改めて考える必要があるのではないかと思います。
皮切りの意味で私の現地の調査から申し上げますと、市町村の担当者としては、農林業