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最後に、集落移転後の跡地をどう利用し、どう保全してゆくかという問題が残るということで、集落移転を実施した場合、国土の利用と保全の最前線が撤退してゆくことになり、国土の荒廃が拡大する契機となる可能性があるということで、この点は重要な課題と考えられるということで触れております。

このときの若干の調査の事例で、少々触れてみますと、調査報告書の最初に調査地が載ってございますけれども、例えば北海道豊浦町の場合、ここはゴヒ海道の南西部にあるところでございますけれども、同じ地区内に移転先を確保したので非常に集団移転がしやすかったということで10戸ばかり実現をした例と。それから青森県新郷村の場合は、移転は確かに検討したけれども、日常生活面ですでに最低の環境の条件が整っておるので移転については、ほとんど関心は薄かった地区と報告されております。それから長野県上村。これは太田委員と今回ご一緒に行かせていただきましたけれども、山が迫っているところでほとんど平たん地がない。したがって米はほとんどやっておりません。それで56年度の調査報告ですが、まず谷あいのところの農家が他へ移転しまして、谷あいのところへ、今度は山の中腹あたりの集落がまとまって移転をしてくるというように、地域で移転をしておるところでございます。それから鹿児島県の樋脇町。46年の風水害で集団で移転をしたところでございます。それから高知県の大月町は、集落が非常に大規模なんです。集落の平均で90戸ぐらいある大きな集落でございますので、集落が崩壊に至るというところまで集落の性格が変わっていないということで、特に集落移転にまでは至っておらない。むしろ機能的な調節をするということです。これは太平洋に面した漁村でございますけれども、漁村の集落の特色でございます。京都府の美山町の場合は、これは綾部市の東にあるところでございます。ここは95%が山林の地区なんですけれど集落が平たん地なので、道路のネットワークがわりあいよく、比較的機能連携がいいので集落移転というようなことまではいかずに、むしろ環境の整備で対応することができたような地区というふうな認識をしております。以上が56年度の調査報告でございます。

 

最近の島根県における調査 ―面接調査など―

最後に島根県の調査報告でございますが、平成6年3月発刊となっておりますけれど、最初の「まとめ」のところで集落の基本調査のまとめをしております。島根県は38の過疎町村に1,781集落があるんですが、この集落の基本調査のほうは、国調の人口、世帯の動き等を見たものでございます。世帯規模別の集落数をみると、20世帯以下の集落が全集落の34%ほどありまして、たとえば県の西部に日原町とか匹見町を含んでいる益田都市圏がありますけれど、益田都市圏ではもう6割近い集落が20世帯以下のところとなっております。

平成2年の数値で集落がなくなったところ。これは全部で6集落ありますけど、全部益

 

 

 

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