日本財団 図書館


それから5番目は、地区において余剰を生みだし、これを活用していくこと。これは、そういった余剰をもって、物質的な面だけではなくて文化的な面にもあわせ考えてほしいという意味でございます。

6番目は、集落再編成の手段としての個性的な交流を開発していくこと。これは、地区独自の個性ある交流をつくりだしていくことが望ましいということで、いろいろ触れてございます。

7番目は再編成のアフタケアに留意することということで、再編成が集落の移転を伴う場合は、再編成の効果は一時的なものであってはならないので、その効果の実現を容易にし、さらに補強するよう適切なアフタケアを考えていってくださいということです。

この49年度のときに、国土庁の調査と同時に、船舶振興会のほうから助成があって同時に「過疎地域住民の意識構造調査」というものをやっております。膨大な内容でございましたのでちょっとコピーをとりませんでしたが、こういうことを提言しております。「過疎地域にも線引きを行って、行政サービスを十分に享受しうるシステムをつくること」と。

これは、人間が住むことが不適切ないし不可能な地域と、十分行政サービスを提供し得る地域を区分するという意味で提言しております。また、拠点形成論の立場から、近隣の母都市の中で利用できる施設は極力利用するようにしてほしいという提言が出されました。

このときに、この意識構造調査の中で集落移転の賛否抽出調査を1万人に対してやっておりまして、回答が8,117人からなされました。「もっと条件のよいところへ部落ぐるみで移転することはどうですか」という質問に対して、「やらないほうがよい55.9%」。その内容は、「住みなれたところがよい」がこの55.9%のうちの29%です。「生活が必ずしも保証されない18%」となっておりました。「やったほうがよい9.8%」、あとは「わからない」と。これが、49年度の調査報告書でございました。

 

昭和56年度の報告書 ―集落移転の例―

続きまして56年度の調査に移らせていただきます。「過疎地域における小規模集落のあり方に関する調査研究」でございまして、調査地も多岐にわたっております。

このときの課題としまして、過疎地域に新しい構造問題が出てきておるということを、第1章の課題と方法というところで触れております。3点でございまして、1点は過疎地域内部で地区間の格差が出てきておるということ。人口減少は確かに鈍化しておるけれども、過疎市町村の中心部は人口が増加し、周辺地区、末端集落の人口がひどく減少しておる。その差し引きが鈍化という形であらわれているんだという、こういう過疎地域の新しい地域構造というものを一つ指摘していました。

2番目としまして、老齢化の進行というのは、実は末端の小規模集落でより深刻に出て

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION