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る生活単位にまで育て上げていくということにもつながると述べております。ということで、生活環境の整備を図りつつ、生活圏を拡大して、従来の基礎的な生活単位としての集落からもう一段上の生活単位への機能的な統合を図ることをケース・スタディーとして展開を行っていろいろ指摘がなされました。

この生活単位としての側面につきましてはいろいろな面があるわけでございまして、農作業の共同化とか、あるいはいろいろな生産にかかわる生産組合の活動、部落有林の共同作業―下刈りその他、それから消防、水防ということもあります。道の普請というようなこともございます。それから社会生活面では、町会といっておりますが村の寄り合い、それから氏子集団あるいは檀家集団の活動、それから文化的な面になりますが、神社の神事、盆踊り大会、あるいは芸能保存というような、そういったいろいろな細かな側面につきまして、非常に細かい分析、調査をこの3地区で行いました。

次に計画の対象でございますが、計画の対象は、過疎集落、基礎集落という直接的な空間だけじゃなくて、もっと広い都市のシステムについて検討していく必要があるということを、この計画の対象ということで触れております。

この再編成の具体化の方策の基本方針としましては以下に挙げてございまして、第一点は再編成の目的を明らかにし、対象者と実施主体の間で十分な合意形成をすること。一般に実施主体の側では再編成の効果やメリットを強調するのにたいし、対象者たちは、今さらあえてそのような効果を望まなくても、他の代替手段さえ整備されればというかたちで、移転に反対したり渋ったりすることがある。例えば道路をつくってもらえばいいんだというふうなことで、いろいろ交渉をやりましても、利益や効果を強調しても交渉不毛に終わることがあるということで、対象者と日常生活の面で当面する問題の一つ一つについて明確にして確認し合うということが必要であると触れております。

それから2点目でございますが、集落再編成を社会政策的観点からの発想だけで強行しないこと。これは、移転の対象者が何よりも不安をいだくのは、新しい環境の下での生活の設計であるということで、実施者というのは大体町村当局でございますけれども、町村当局のほうで進んで所得の向上なり雇用機会の拡大なりの可能性を具体的に掲示できる配慮をしなければならないということで、生活基盤の整備も当然でございましょうが、産業開発的な資金の助成の充実をという現地の声が非常につよいということを触れております。

3点目としては、人間関係の維持と改善に積極的な配慮を行うこと。これにつきましては、集落再編成が人間関係の変化、動揺を伴うので、物的環境の改善ということ以上に心情的な問題を実施主体は十分に理解することが必要であり、集落再編成は必ずしも直ちに集落移転ということを意味するものではないと言っております。特に地域リーダーの役割が非常に重要であるということをこの3点目のところで触れておりまして、例えば岩泉町

 

 

 

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