様々な公民館活動で町内外との交流が活発なため自ずと人的つながりが強くなり、孤立感はなく、今のところ嫁不足問題も生じていない。むしろ、スポーツ活動をさらに活発化するために、集落の近くに体育館の設置が強く望まれている。
各世帯の経済の重要な部分を支えている30歳台、40歳台の者たちがまた、この集落の諸活動を担い、安定した集落を形成している。この集落にとっての課題は、その次の世代、つまり現在の子供たちが、同じようにUターンをして世帯を支える存在になり得るかどうかである。それを大きく左右するのは、ひとつはここでの農業のあり方であり、他のひとつは、安定した農外所得を得ることのできる機会の存在である。農業祭が中断されているが、この復活も配慮されて然るべきであろう。農業こそは、この集落の各世帯を直接結びつけるものであろうから。
5. 事例2: 後梅集落
(1)地域の概況
?@ 地形、自然条件、就業等
後梅集落は、町の南部、中心から5?qに位置し、東に大瀬川・西に日向川が貫通した、 9世帯35名が居住する農山村の小規模集落である。
大瀬川を初めいくつかの谷川が山を削り、四方に深いV字形の渓谷を形成している。この渓谷は50〜100m以上の切り立った断崖となり、その上部に階段状に耕地が拓かれ、そこを中心に後梅集落が形成されている。
地質は、砂岩・粘板岩が多く、表層は阿蘇火山噴出物の溶結岩等のため、土壌は非常に厚く、気象条件等に恵まれていることから森林の育成に適している。
就業人口は農業離れが進み、現在では、専業農家は0件となり、すべての農家が兼業農家としての現金収入に頼りながら、少ない農地を利用して水稲・栗・椎茸等の生産により生計を立てている。
?A その他の特徴
本年度、宮崎県が実施する「過疎地域活性化モデル事業Jの指定を受け、本町の対象集落の一つとして選定されている。
そのアンケート調査では、当初予想されていたことではあるが、,道路状況が悪い・山崩れや火災などの防災面が不満・水道施設が悪い・体育館などの多目的施設が近くにないなどのハード面に対する現状に対して意見が多く上げられているところである。
また、平成8年度から3ヵ年の予定で、地域の特色を生かした活動を促進し、地域振興に寄与するため「高齢者福祉の里づくり」としてモデル公民館の指定を受けている。