町も、漁船団の引き揚げに始まり、地域経済を支えていた農業・漁業の不振で若年者を中心とする人口流出が続き、平成7年には人口2,397の小さな町となっている。このペースで人口が減少していくと、人口は平成17年には2,016に縮小すると予想されているが、その人口を現在以上に減らさないことを目標に各種の施策が行われている。
集落の点からすると、全町22集落のうち人口19人以下の少集落は5つで、近い将来、その存続が問われることになろう。しかし、それら5つの集落はいずれも町内の主要道路沿いか、その近くに立地しているため、交通の不便さによって急速な人口減少を見る惧れは少なく、集団移転などを検討するには及ばないであろう。
町の『平成7年度〜11年度過疎地域活性化計画書』は、第8を「集落の整備」に当て、対策として、「中心集落を結ぶ道路及び生活環境の整備を図る」としている。町域は、玉之浦湾を中心にしてそれをとり巻く形であるために道路交通はこの町の住民生活にとって非常に重要である。集落内や家屋連担地区の町道の舗装率は100%であるが、集落間を結が主要町道に未舗装部分がある。主要町道の舗装・整備が集落維持のために不可欠と言えよう。
集落における生活を安全かつ快適なものにし、伝統的文化を維持・継承していくためには、集落単位の各種施設の整備・充実が必要だが、「郷」の組織の強化とその活動の活性化、それを支える人材の育成もまた不可欠である。ハードだけでなくソフト面の充実が十分に配慮された町の施策が強く望まれるところである。
また、人口老齢化の進行に対して、高齢者在宅福祉サービスの必要性が増すことは必至である。そのサービスの充実と全町的ネットワークの形成と並んで、集落内部にそれを受け入れ易いシステムや雰囲気を創り出すことも重要であろう。