計が事務局を担っている。また、名誉職的な顧問が3名いる。郷長・理事・監事は郷会の総会で選出され、任期は1年。郷会は郷民によって組織され、年1国総会を開催する。郷民は69歳以下の成人男子(1世帯1名)で郷の組織と活動の担い手である。平成9年7月現在、郷民は76名を数える。69歳を過ぎると郷をあがって老人組のメンバーとなる。平成9年7月現在、そのメンバーは7名。
郷には若者の組織として青年会があったが、後継者がいなくなって、昭和57、58年ころから活動停止状態になっていた。それが、さいきん45歳未満の者で成年会として再組織された。平成9年7月現在、メンバーは27名(すべて男子)で、うち30歳以下が12名、漁業関係者3名、役場職員6名(いずれも20代)である。
郷の財政収入の主な部分は、税徴収の報償金(200万円弱)と郷費(1郷民1月500円)、町の各種の補助金である。支出の主な部分は、約2分1を郷長の年棒を初めてとする人件費で占め、祭事費、有線放送施設・街灯を初めとする郷施設・設備の維持・管理・運営費などである。
郷の活動の主なものは伝統的な祭事の実施である。郷長が中心となり、役員・老人組・成年会・郷民が慣習に従って参加する。祭事は多岐に亘るが、県の指定無形民俗文化財となっている「砂打ち(ずなうち)」が代表的なものである。砂打ちの行事は、旧歴9月28日・29日の言代主神社(ことしろぬしじんじゃ)の秋祭りの中で行われる。この祭りは、28日の宵祭りで奉納される神楽と29日の砂打ちで構成されている。この砂打ちは、悪魔・悪疫を打ち払うため、砂鬼(ズナオニ)と呼ばれるものが浜の真砂を郷中に打ちまくものである。この行事は郷の最大の祭事であり、成年会が神楽の保存などを初め重要な役割を果たしている。
この他に、いくつかを挙げると、種々の神様・地蔵様・お大師様の命日の行事、お大師様の誕生日の祭事、初祈祷、盆祈祷、お伊勢講、地蔵講、などがある。また、5月の連休には郷の運動会を開催したり、漁協の行う3月10日の琴平祭り(大漁祈願)にも協力したりしている。
成年会が積極的にかかわっているのは、郷の最大の祭事である9月28・29日の言代主神社の秋祭り(神楽と砂打ち)の他に、1月11日に浜で行う男女に別れての綱引きと「どうぶり会」(「どうぞ無礼講で」の意)、8月13日の執盆を翠える家での踊りの奉納、旧歴8月17・18日の「お大師様」のお祭りへの出店、などがある。また成年会は、その他に、子供会の育成にもとり組み、親睦慰安旅行を実施している。
以上のように、大宝郷においては、住民の日常生活や伝統行事・祭事、あるいは新しい行事などで郷の組織の存在は欠かせないものとなっている。人口の減少と老齢化が進行する中で、その役割を果たすことがむずかしくなって中止した行事・祭