(3)産業と就業状態
主な産業は漁業と農業である。漁業は46戸で全世帯の27%を占める。うち専業漁家は12戸と4分の上余りにすぎず、2分の上の23戸が第2種兼業漁家4分の1弱の11戸が第1種兼業漁家である。地元船は79隻あるが、5〜10トン未満の船が3隻あるだけで、残り73隻は5トン未満の船である。和歌山・高知・宮崎・熊本・鹿児島などの船260隻が、大宝港を利用している。水揚高は、属人水揚で311トン・1億77百万円、属地水揚で366トン・1億93百万円である。外洋に面しているため養殖には見るべきものがない。日帰りの近海での1本釣りが主力であり、数少ないが比較的規模の大きな船(4〜5名乗り)で男女列島を越えて主漁するものもあり、また高齢者による坪網漁も行われている。魚獲物は主として漁協のトラックで福江市場へ出荷されている。
農家は47戸で、全世帯の28%を占める。専業農家8戸にすぎず、しかもそのうち、男子生産年齢人口がいるのは僅かに1戸である。3分の2余りの32戸が第2種兼業農家であり、残りの8戸が第1種兼業農家である。1戸当たり平均の水田面積は43アール、半数余りの農家が1戸当たり平均77アールの畑を耕作している。
町の誘企工場である縫製業の(株)サンアイソーイングの工場が平成元年12月から大宝公民館で操業を開始した。その後工場は、平成2年に町内の3中学校が統合されて廃校となった旧大宝中学校へ移転し、現在に至っている。工場では中高年女子が中心で30名余が雇用されているが、そのうち大宝郷の住民は10名程度である。
漁業・農業および縫製業以外の主な就業先としては、町役場19名が最も多く農協・漁協10名、消防署2名、その他10名なのである。町外への通勤者は、福江市への女性1名くらいで、他には殆ど見られない。また、長崎市に本社を置く企業が行う、玉之浦町荒川郷地元での真珠養殖に大宝郷から若年男子4名が就業している。
住民に就業の場を確保することが、この郷の存続にとっては、農・漁業の基盤整備や振興と並んで重要な課題となっている。
(4)郷の組織と活動
大宝郷は住民の自治組織であると同時に町行政の末端組織としての性格を付与されている。後者は、郷組織の代表(長)である郷長が町役場から駐在員として位置づけられ郷に対して財政的見返りが与えられている。その活動としては、町民祭(町民運動会)・敬老会などの町主催の催しものを初め各種の町からの情報の伝達や町民税の徴収(郷が納税組合となる)などが行われている。
自治組織としての大宝郷は、郷長1名と8名の理監事が執行にあたり、書記・会