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若者の流出防止に一役買っている。

人口の老齢化に対応して、早くも昭和44年に町営の養護老人ホームが開設され、50年にその業務全般が、福江島の一市三町からなる下五島地域広域市町村組合に移管された。収容定員は50名である。同組合の運営する特別養護老人ホームが隣接3町に各1つあるが、玉之浦町内にはない。

社会福祉協議会は昭和49年に認可され、平成2年よりデイサービスを開始した。現在、デイサービスは、玉之浦郷と荒川郷の2ヵ所にあり、バス3台で1人平均週2回のサービスを提供している。

将来の見通しとしては、『玉之浦町基本構想(平成8年〜17年)』の中で、「診療所横に特別養護老人ホームを建設し、……デイサービス、在宅ケアーの充実」が提唱されている。また、町の『平成7年度〜11年度過疎地域活性化計画書』の中では、その他に、「高齢者の自主的、積極的な社会参加のできる施設、環境の整備」の必要性も述べられている。施設としては、在宅介護センター・デイサービスセンター・保健センターを集めた保健福祉センターの建設が計画されている。

 

4 集落の現状

玉之浦町では、町内が図2で示したように、郷(ごう)と呼ばれる11の地区に区分されている。この郷は町報の配布や町税の徴収を初めとする町行政の末端を担うとともに、地区内の祭事等を実施したり、地区内の諸問題に取り組んだりする自治的活動の主体でもある。郷により若干の違いはあるが、組織的には郷長がトップで、数名の理事が郷長を補佐し、郷長・理事による常会が執行機関の役割を果たし、審議決定機関としては郷民による総会がある。さらに、郷は便宜上、いくつかの班に分かれている。

集落との関係で言えば、1集落がそのまま郷であるものが9、複数の集落で1つの郷を形成するものが2、である。後者は、町役場があり、人口が最も集中(町人口の4割弱)している玉之浦郷、および人口が3番目に少ない布浦郷である。それぞれを形成する集落数は、11・2である。玉之浦郷のはあいには、中心部の8集落は、海岸線に沿ってなど連続した市街地を形成し、そこに町人口の3割余りが集中している。

平成9年7月現在の人口規模別の集落数を表2に示した。9人以下の集落が2つ、10〜19人の集落が3つ、合計5つである。40〜49人、50〜99人、100〜129人の集落が、それぞれ2、4、5と比較的多く、300人以上の集落も2つある。郷でみると、玉之浦郷が926人を擁してとびぬけて大きく、次いで、後の事例でみる大宝郷の404、そして荒川郷351と続く。この3つの郷で、町人口の7割弱をも占める。

 

 

 

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