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るものは主として長崎市市場へ、養殖ものは主として和歌山や四国方面へ出荷されている。

魚価の低迷や飼料の高騰などは、この町での漁業の発展をおしとどめているのが現状である。養殖技術の向上、魚貝類の稚魚・種苗の放流、水産加工施設の設置などがとり組まれている。

観光産業は、この町が広域観光ルートの中に位置づけられていないことから、あまり発展していない。年間の町への観光客数は約10万人と推定されている。東支那海を臨む大瀬崎灯台と、20?qにわたる100〜150mの高さの断崖、自噴の荒川温泉、キリスト教・仏教の文化遺産、カントリーパーク(遊園地)、海水浴場などの観光資源を活用した滞在型・通年型の観光の推進が図られている。

製造業については、立地条件から、工場誘致を含めて、その発展を図るのは非常に困難である。食料品製造業・鉄工業・製氷業・木工業などの零細企業が若干存在するが、いずれも町内需要を満たす程度である。町外から誘致された企業は2企業である。ひとつは、大阪に本社を置く、メンズシャツ・カジュアルシャツ等を縫製する(株)サンアイソーイングである。この企業は、大宝集落の大宝公民館(のちに統合後旧大宝中学校に移転)で平成元年、幾久山集落の旧玉之浦町国保診療所で平成6年にそれぞれ操業を開始している。従業者数はそれぞれ30名・8名である。他のひとつは、やはり大阪に本社のある、子供用下着等を縫製する佐々野繊維(株)である。この企業は幾久山集落の旧保育所で、平成3年操業開始し、 9年8月現在8名を雇用している。また、町の出資による玉之浦食品(株)は、魚の姿焼きを商品化し、下関方面への販路開拓に努めているが、 6名の雇用を創出している。

 

3 若者対策と老人福祉対策

若者の流出をくい止め、あるいはUターンを促進するために、町は産業振興・生活条件の整備・雇用の場の創出等に努めているが、必ずしも直ちに大きな成果が期待できるとはいいがたい。

すでに指摘した施策の他に、若年者にかかわる若干のことを示しておこう。ひとつは、結婚祝い金(5万円)と出生祝い金(第三子から3万円)の制度である。また公営住宅の建設も計画されている。すでに53戸あるが、44戸が老朽化しており、平成7年〜11年の間に16戸の建設が計画されている。さらに、町による水産加工処理施設(約6名)・花き栽培センター(約10名)・カントリーパーク(開始直後なので1名)・温泉センター(2名)などの設置や、診療所(16名)・保育所(11名)・デイサービスセンター(11名)などの医療・福祉施設の整備などによる就業機会の創出も、

 

 

 

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