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第3次産業就業人口は、就業人口総数が減少する中でそれに占める割合は増加して平成7年には46%を占めるが、その数じたいは減少傾向にある。主として地域住民や企業を顧客とする卸小売業・サービス業・運輸通信業の就業人口はいずれも減少傾向にあり、公務のそれだけが横這い状態にある。

主な産業についてその概要を示そう。まず農業について。平成7年の農林業センサスによると、農家戸数は182戸で、全世帯1,064の17%にあたる。専業農家が約3割の53戸を数えるが、そのうち男子生産年齢人口(15〜64歳)がいるのは13戸(農家総数)の7%にすぎず、他は高齢者による「専業農家」である。第1種兼業農家は33戸(18%)、残りの96戸、農家総数の過半の53%を占めるのが第2種兼業農家である。1戸当たり平均約60アールの水田と、4割の農家が平均44アールの畑を経営している。農業は水稲作と和牛(五島牛)畜産が主力で、他に養蚕や煙草の栽培も行われているが、拡大方向にはない。水田面積および稲作付面積ともに、減反政策や耕作放棄地の拡大により減少し、平成9年には、昭和55年の約半分と急減している。畜産業もまた徐々に後退気味で、平成4年6月現在、繁殖牛飼養戸数は55戸で、これは全農家の3割を占める。飼養頭数は297頭、平成3年度の販売子牛頭数は246頭であった。畜産業者の高齢化・後継者難、機械化や規模拡大のための資金や、飼料作物用の圃場確保の困難さなどの問題に直面しており、状況は容易ではない。

なお、長崎県の第二次新農政推進特別対策事業費と町費で建設された「丹奈温泉花き栽培センター」は、新しい農業として注目されている。これは温泉熱を利用して、主としてカーネーションとバラを栽培する施設で平成6年度にオープンし、第3セクター(町出資1,485万円、個人出資515万円、計2,000万円)に管理運営がまかされているものである。

漁業は、大正末期から底引網の根拠地として繁栄したが、昭和12年に、漁船の大型化や漁法・航海術の進歩により漁船団が引揚げ、人口も大きく減少した。現在、漁家は144戸を数え、町の総世帯数の14%を占める。そのうち専業漁家が83戸と58%を占めて多く、第1種兼業漁家25戸(17%)、第2種漁家36戸(25%)となっている。地元船は319隻あるが10〜20トンが13隻にすぎず、9割近くの283隻が5トン未満の小型船である。このうち最も多いのは、一本釣漁船で145隻(45%)と半数近くを占め、雑漁船89隻(28%)、定置網船43隻(13%)がそれに続いている。

水揚高は、一本釣・定置網・延縄などの「獲る漁業」が、属人水揚で647トン、4億74百万円、「育てる」漁業である養殖業が1,833トン、18億92百万円である。この町の漁業では、養殖業が主力を占めるに至っている。この養殖業を水揚高(金額)でみると、たいが約6割を占めて最も多く、はまちが2割余りで続いている。獲る漁業によ

 

 

 

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