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4. 集落の現状分析

以上述べてきたところをもう一度要約すると、当村の過疎化――若年人口の流出、高齢化の進行とそれにともなう村内での社会生活上の諸現象、すなわち就学児童の減少、学校の統廃合や授業の複合化、青年の社会活動の停滞などの顕在化は、昭和30年代後半からの全国的な規模で現われはじめたものの一環であり、当村に限るものではないが、当村の過疎化が典型的な事例としてあげられるのは、過疎化の諸条件が備わっていたからに他ならない。ちなみに当村をふくめた上浮穴郡の場合、人口の激減という事態に縫着してその対策にのり出したのは昭和40年代に入ってからである。昭和42年5月、上浮穴郡の社会教育関係者によって「上浮穴郡出稼ぎ実態調査」が行われ、同年9月、久万小学校でその調査報告がなされ、ついで翌年3月「上浮穴郡人口過疎実態調査」が行われ、同年9月、同じく久万小学校において「上浮穴郡における過疎現象について」という調査報告と「人口過疎現象と今後の村づくりのあり方」について討議され、愛媛大学法学部助教授横山昭市氏の「人口過疎現象について」と題する講演会も行われている(『柳谷村誌』第5編「教育」)。当時の雰囲気が感じられる。ここには参考のため、昭和40年代はじめに立てられた農村綜合整備計画一覧を掲げておこう。

 

昭和40年代に策定された農村綜合整備計画

1 集落整備

(1)集落間の格差除去

(2)集落道の整備

(3)用排水施設整備

(4)コミュニティー施設整備

(5)防災施設整備

2 道路整備

村道(12路線)

農道(28路線)

林道(既設23路線.新設計画30数路線)

集落道 既設道の未改良箇所整備 新設計画路線の早期開さくを進める。

3 水供給施設整備

(1)農業用水施設整備―老朽化用水路整備

(2)飲用水施設の整備―簡易水道・飲用水供給施設設備近く96パーセント完成

4 排水施設の整備

(1)河川排水施設整備―出水期災書発生のおそれある河川の改修・地すべり防止区域内対策

中津地区(小松谷川・上場谷川・ヨゴレ谷川・西ノ谷川)

柳井川地域(栃谷川・ケショウ谷川)

西谷地域(本谷川・名荷谷川)

(2)農業排水施設の整備―上堀り上水路をコンクリート水路に、集落排水と一体的に整備

(3)集落排水施設の整備―農用地排水と集落排水の一体化した排水施設25路線整備

5 土地基盤の整備

(1)農用水の整備―畑と二団地4ヘクタールの整備

(2)農用施設用地の整備―米・繭等農産物出荷場1、肉用牛繁殖牛ふん尿処理施設4

(3)その他公共施設用地の整備―遊園地・農村公園・多目的集会施設・集会所・山村広場・体育館・プール・公民館・郷土史料館などの用地

6 産業施設の整備

(1)農林業施設整備―家畜ふん尿処理施設(西村はか3か所)、農産物出荷施設3か所、乾燥施設(生産地ごと)

7 その他公共施設整備

(1)地域コミュニティー施設―多目的集会施設(西谷古味地域)・農村公園・公民館・郷土史料館(落出)・山村広場・体育館・集会所・プール・遊園地(中津地域)・集会所(21集落)

(2)観光施設―四国カルスト姫鶴平(高原サマースキー施設・運動広場・1万平方メートルトリムコース10ポイント)、大川峰(国民宿舎・キャンプ場・高原植物園)、高野川本川上流(人工渓流つり場)、八釜渓谷(ロープウェー1基、遊歩道、休憩施設)。

(『柳谷村誌』所収)

 

 

 

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