日本財団 図書館


131-1.gif

 

131-2.gif

 

しかし最近、伝統的な木造建築の見直し再評価が行われはじめ、加えて外国材の輸入がもたらす弊害として、輸出国の大規模な森林破壊が指摘され、国内材への関心があらためて高くなっている。林業はそうした近時の傾向―伝統的な木造建築の見直しや再評価が進むことに期待し、国内市場の好転に一縷ののぞみを託している。

次に農業についてみると、昭和45年現在575戸、これは全戸数の56.2%を占めているが近年は激減し、また兼業農家がふえている。耕地は山間の傾斜地を利用する零細な規模の棚田であり、機械の導入も困難な条件の下にある。したがって稲作は、多くを望めず、主に自家用の生産にとどまっている。

地域の特性を生かした農作物として、明治期に、焼畑を利用してミツマタの生産が盛んとなり、重要な現金収入源となったが、現在はほとんど行われていない。昭和21年をピークに昭和35年あたりから急激に減少している。和紙から洋紙への需要の変化、紙幣の硬貨化などが直接の原因であるが、これにかわる現金収入の道が生れたこと、とくに昭和30年代後半にはじまる国道33号線の改修工事に従事したのがきっかけとなって土木関係の労務出稼ぎの機会がふえたことも無関係ではない。商品作物としてのたばこの栽培も、ミツマタと同様、多大の労働力を必要としたが、これも需要の変化にともない減少した。養蚕も戦後全村的なひろがりを見せたが、貿易の自由化のなかで衰退した。もっとも期待されたのが畜産―肉用牛の飼育である。南部の四国カルスト台地の大規模草地を利用して放牧し、11月に飼育農家に戻すというものである。村としては林業とならぶ基幹産業と位置づけているが、飼育農家は29戸、頭数も784頭と減少気味である。ただし後述するように、若い後継者も育っており、安定した産業となることが期待されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION