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れを夏だけでなく冬にも招き寄せたいと種々智恵をしぼり、伊保田の陸奥記念館を改修し、長崎には総合交流ターミナルや総合体育館、農村交流伝承館などを、片添ヶ浜にはその景勝を生かした通年型・滞在型のリゾート地をつくるC・C・Z(Coastal Community Zone・海辺ふれあいゾーン)整備計画を実施している。その施設の立派さはとても過疎地とは思えないほどである。

 

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片添ヶ浜海浜公園 C.C.Z(海浜ふれあいゾーン)

 

しかしいいことばかりではない。観光客、釣り客がふえたためにゴミが捨てられ、交通事故が起り、盗難など治安も悪くなった、客相手の悪徳商法も目立つ、といった工合である。一方、大橋が通じ国道437号が改修されたことにより近隣都市への往来が容易となったために、柳井に大型店舗ができると島内の商店が打撃を受けるなど、影響を受ける範囲も広域化して来た。当町は他の大島3町とともに柳井市広域市町村圏に属しているが、交通機関の整備により明暗両面でその実があがりはじめたといってよかろう。

あらためて目を町内に転ずると、東西に細長い地域に32の集落が散在しており、その規模の大小を問わず住民の流出は続いている。その傾向を阻止することはおそらく不可能であろう。といって近い将来に崩壊するような集落があるわけでもない。人口の流出による過疎化は続くとしても、そのテンポがわずかながらゆるやかになっていることが、数字の上からも知られる。その意味で集落の維持のために基礎(幹)集落を定め、それを核に周辺の弱小集落を統合再編成する方策が打ち出されたこともあったが、当町のような散在性のつよいところは、有効であるようでその逆だと考える(この再編成論については「柳谷村」参照)。

これまで大島(東和町)は離島たることからの脱却を目指して努力して来た。しかしその悲願が大島大橋の開通で達成されたにもかかわらず過疎化をくい止める力にならなかったばかりか、かえって過疎化を進める結果となった。その意味でこれからの

 

 

 

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