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もなされている。このような一つ一つの積み重ねが、地区を見直し、残った人たちに自信を持って暮らせる要因につながっている。

 

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戸河内地区は、村内でも比較的元気があり、まとまりの良い地区である。その理由として集落の人たちがあげてくれたのは、地形的に1本の谷筋にほとんどの集落がありまとまりやすかったこと、雪が深く、万が一のときにはまとまらざるを得なかったことなどの理由である。

集落機能の面では、現在でも草刈りや側溝掃除、年始の行事、葬儀などは集落単位で行われており、集落としての機能は、まだ十分果たされている状況にある。

また、集落内にはJAの販売所があり、最寄り品の販売機能と地域の人たちが集まり情報を交換する集会所機能を果たしている。これ以外の買い物は、週に1回移動販売車が回ってくるのを利用したり、病院などで三次方面に出かけたときにまとめ買いをするケースが多いという。また、地区には広島県三次市や吉田町に通勤している人もおり、通勤帰りに買い物を済ませてくる人もいる。寝たきりなど日常の買い物が不自由な人の場合は、ヘルパーに頼むこともあるという。

集落にはUターンをして戻ってきた人たちもいるが、その人たちが戻るきっかけになったのは、家業を継ぐためであったり、昔の友達からの「戻って来い」という働きかけなどの理由からである。

このほか、特異なケースとしては、神楽をきっかけにUターンするケースも見られるという。全国的に見れば、このような伝統芸能がUターンのきっかけになるケースはあまり例がない。しかし、中国山地の市町村においては、多くの集落に固有の神楽が存在し、住民が神楽に傾ける情熱は並々ならぬものがあると言われている。

戸河内集落には固有の神楽はないが、村内にある神楽を舞いたいがために、都会

 

 

 

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