島根県の川本管内の各地方機関の横の連絡を図り、相互の理解の上に地域の目指す目標を、共通の認識に立って支援・実施する目的で設立された「悠邑ふるさと町村事業支援推進会議」が、戸河内地区を対象に「これからの中山間地域活性化対策のあり方」という調査研究(以下「レポート」と略)を数年前にまとめている。集落におけるヒアリング結果とともに、この「レポート」も活用しながら、戸河内地区が抱える問題点や取り組みを明らかにしていく。「レポート」では、戸河内地区は昭和35年には、545人・113世帯あったが、平成2年には248人・88世帯まで減少したとしている。人口減少基調であることは現在でも変わりないが、この流れに少しでも抗するために、戸河内地区ではこれまで様々な取り組みを行ってきている。
きっかけは、地域住民が平成元年から平成5年に「戸河内を考える会」を設立し、この間30〜40回もの会議を重ねてきたことに始まる。この会には青年団、老人会、婦人会、各種団体などが参加し、「地域のために自分達でできることは何か」というテーマで話し合いを重ねてきた。
その中で出てきたのが「地元で産業おこしを」という発想であり、農業で反収のあがる仕組を実践していくことになった。具体的には「自然薯栽培への取り組み」「種苗会社向けの種取り作物の栽培」「農作業受託組織の結成」である。この中でも「農作業受託組織」は、「田吾作」というグループ名で設立され、現在は戸河内集落だけでなく、羽須美村内はもとより、広島県側からも作業委託の申し入れがあるという。現在は9名の構成で、秋作業を中心に、稲刈り・乾燥・出荷まで手がけており、受託作業面積は12haに上っている。
このほかにも、地域では集落案内板(戸河内街道ふれあいマップ)やスポーツレクリエーション広場の設置など、集落のコミュニティ機能を高めるための取り組み