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内原の場合は、国道168号まで数キロ離れており、もし仮に国道沿いにもっと住みやすい環境が用意されても集落を離れる気はないという。年齢的にも移住をするには大変であるし、生活を営む基盤が既に集落内で確立されてしまっているので、それを捨てて迄行くつもりはないという意向が強い。むしろ現在のところで住み続けられるような、介護施策や住宅改造施策などの充実を求めている。

 

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内原集落の事例ではないが、集落内で生活基盤をまだ確立していない、あるいは仕事上、農地や林地に縛られることが少ない、若手の勤労者にとっては、現在の集落内よりも便利な国道沿いに、もっと住みやすい環境が用意されれば、ぜひ移りたいという希望を持つ人もいる。このような意識の差は、年齢や生活基盤の差から生じると考えられる。

 

(4)村がとってきた集落施策

ここでは、これまで村が取り組んできた集落施策について整理しておく。

十津川村の集落(大字)数は明治以来基本的に変化しておらず、集落に対する施策もこの単位で実施されている。

しかし、村の施策としては、集落への施策よりも、村と村の外とをどれだけ短時間に結ぶかといった、村外とのアクセス改善が最優先課題であった。村内を縦貫する国道168号が全通したのがほぼ40年前であり、その後、道路拡幅やトンネルと橋梁でのショートカットと改良を重ねてきたが、まだ大型車同士のすれ違いができない個所も数多い。平成7年には地域高規格道路として五条新宮道路の整備が始まり、村と外を結ぶ本格的な道路網の整備がスタートした。村民を対象にしたアンケート調査でも道路整備の促進が重要施策のトップにあげられており、引き続き力を入れ

 

 

 

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