報告書でも「古くから祖先が行ってきた生活を黙々と続けている集落のようだ」と記述されるほど、ほとんど変化がなかった人口・戸数が、高度経済成長期以後、大きく減少した様子が読み取れる。
次に各集落の状況を見てみよう。
小井集落には、昭和40年代始めまで小学校があったという。その後児童数の減少に伴い廃校となり、跡地は縫製工場となっている。医療機関は小原集落や平谷集落まで通院するという。大きな病気のときや入院の場合は、新宮や五條の病院を利用する。農林業で生計を立てている人は集落内にはいないが、自家用野菜などは栽培している人が多い。
国道が改修され、トンネルと橋梁でショートカットしていくため、集落間の所要時間は短くなっている。しかし、路線バスも改修された国道を通るため、かつては集落内にあったバス停が移設され、家からバス停までの便はかえって不便になっているという。