昭和34年当時の小井集落の人口は193名。40戸だったが、昭和62年当時は103名・30世帯、平成9年で76名・27世帯にまで減少している。昭和34年当時の就業人口92名の職業別内訳は、農業が43名、林業が32名、建設業が10名であり、その他(卸小売、サービス業、製造業など)が7名だった。現時点では集落ごとの就業者の状況を表す統計が見当たらないので、直接比較することはできないが、農林業従事者の数が、現在の構成と大きく異なることは想像に難くない。ヒアリングによれば、現在は役場や土木関係、事務手伝いなどのパート勤めの人などが目立つという。また、年金生活者が多いのも実状であるという。
一方、内原集落は、村の北東部に位置し、国道168号沿いにある基幹的集落・風屋から、東に5?qほど入ったところにある。集落内には内原、奥里という小字がある。かつては、栗平という小字もあったが、現在は無住化している。集落内は水田が棚田状に広がっており、十津川村の中でも水田が卓越する集落である。集落内に商店や企業などはなく、農林業に従事する以外は他集落に働きに出て行かざるを得ない状況である。
昭和34年当時の就業人口66名の職業別内訳は、農業が34名、林業が28名であり、その他(サービス業、公務)が4名だった。職業別内訳が農業といっても、そのほとんどが林業にも従事している兼業である。この構成を見るだけでも、幹線道路が通っている小井集落と比べて、より山村的な色合いが濃い集落であったと想定できる。