また、今回実施したアンケート調査では、村の中心的拠点として位置づけられる「中心集落」として、「上野地」「小原」「平谷」集落が、「中心集落」ほどではないが、村内において基幹的と考えられる集落として、「風屋」「折立」「重里」集落が挙げられている。
平成6年の時点で、高齢者比率が高い集落は「林」が100%となっているほかは、「竹筒」56.7%、「今西」54.5%、「東中」53.3%といった集落で50%を超えている。これらの集落はいずれも国道168号から支流に入ったところに位置しており、通勤などの利便性はあまり良くないという共通点がある。
一方、14歳未満が1人もいない集落は「林」「上葛川」「東中」「今西」であり、10人未満の集落も含めると54集落中32集落に上るなど、少子化の影響が強く現れている。
(2)集落の人口減少の要因
今回実施したアンケート調査によれば、人口減少の要因として、ほとんどすべての集落で、「若年者の流出等による社会減が見込まれるため」「高齢化の進展による自然減が見込まれるため」という理由があげられている。一方、今後も人口減少基調であるが、「定住促進団地等による住宅の整備が進」み、多少は人口増加の可能性がある集落として、「上野地」「湯之原」「小原」「折立」「平谷」などがあげられている。
個別に集落を見ると、人口減少が進み10人を切ってしまった集落もあるが、現在のところ、村として再編が必要と考えている集落はない。歴史の項でも確認したように、明治中期以来、集落の数はほぼ不変であり、ドラスティックな変化は起きていない。しかし、小字単位で見ると消滅しているものもある点には留意しておきたい。
十津川村全体における人口減少の主要因は、基幹産業である林業の不振が大きい。産業振興のために、大規模な工場の誘致などは難しいので、村では、世帯として現在の収入に十αができる仕組を作りたいとしている。
村内には、まだ車の乗り入れができない集落があるほか、集落には車が入れても、人家の前まで車が入らない家が多数あり、より利便性を求めて、人口減少がおきるケースもある。
(3)集落が抱える問題点と取り組み
集落が抱える問題点と解決に向けた取り組みの事例を、ヒアリングと総合学術文化調査報告書から明らかにしてみよう。主な対象として小井集落と内原集落のケースを取り上げる。
小井集落は、役場のある小原集落から国道168号沿いに北に約3kmほど行った