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第4 広域化の動き

上村は町村合併には消極的だが、広域化への意欲は積極的である。観光振興への近隣地域連携を目指して、上村、大鹿村、南信濃村、阿南町、天竜村の5町村による“観光連合”の計画がある。もっと広い広域化の動きとしては、三遠南信トアイアングル構想(中部経済連合会の提唱)がある。三遠南信地区はかつて1つに結ばれていた。塩の道・秋葉街道、武田信玄西上の三川街道、交易と産業の道・遠州街道。人や物が往き交い、にぎわった。

民俗芸能にその名残りがある。明治になって三県に分割され、地域の交流に壁が出来ていった。村から若者の姿が消え、陸の孤島と化していった。そして、今、長い眠りの地域交流を復活させようというのが豊橋―浜松―飯田を三角形で結ぶ構想で、関係地域の期待がふくらんでいる。その当面のカギとされているのが三遠南信自動車道の開通である。

 

第5 コメント

1 追い風

悲願の矢筈トンネル開通は、経済効果ばかりでなく、心理効果も大きい。地域の人たちの閉そく感をなくし、夢を運んでくれた。追い風が吹き、期待がふくらんでいる。行政が一生懸命がんばっているし、住民も活性化へ意欲を持ち始めているのがいい。残る交通の課題は“南”への開口である。三遠南信自動車道の開通が待たれる。人口減少は続いており、まだ過疎化に歯止めがかかったわけではない。問題は、これからである。上村の自然、伝統文化、人情の魅力は、活性化への可能性を十分感じさせる。トンネル効果を最大限に活用することだ。あせることはないが、鉄は熱いうちに打てとも言う。

 

2 “上村ファン”をつくる

観光で生きるためには、上村の魅力を都市の人たちにPRすることも大切だ。“南アルプスー番地”のキャッチフレーズがなかなかいい。域外に“上村ファン”を一人も多くつくりたい。“上村ファン・クラブ”をつくって訪れか人に加入を呼びかけ、再訪につなげるという方法も考えられる。しらびそ高原がマラソン選手の高地訓練のになっていることはかなりPR効果があると思われるので、これを有効に活用することを考えてみてはどうだろうか。

上村の観光の泣きどころの一つは“冬”だと思われる。山岳部で道路が凍り危険性が増すし、降雪量が少ないのでスキー場もつくれない。立派な宿舎施設をつくっても

 

 

 

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