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3 矢筈トンネル

上村の20年来の悲願だった矢筈トンネル(三遠南信自動車道の一部)が平成6年3月に開通し、上村の状況は劇的に変わった。上村はこの矢筈トンネルを置いては語れない。矢筈トンネルは、下伊那地方の中心都市である飯田市と上村をつなぐため、伊那山脈を貫いて長さ4?qのトンネルを掘ったもので、このトンネルのおかげで、上村は飯田市とクルマで一時間で結ばれることになった。

その効果は絶大で、例えば、

?@ 救急車が飯田市立病院ヘー時間で到達できるようになり、平成8年中にその恩恵で3人の命が助かった。

?A 上村には高校がないため、多くは飯田市の高校へ進学するが、従来は通学不可能で全員が飯田市内に下宿し、学費は下宿代込みで月7〜8万円に上っていた。一家を挙げて飯田市へ引越した例もある。トンネル開通で通学時間が1時間20分に短縮され、通学が可能になった。

?B 時間距離が短縮されたことで定期バスの利用率が向上し、生活圏が広がった。

?C 他地域からのマイカー流入が激増し、ゴールデン・ウィークには延4,000台/日、土日は2,000台/日の交通流入がある。

?D 人口流出への影響も大きく、全体として人口流出の鈍化傾向を示している。死亡者は毎年20人前後であるが、村の人口は、平成7年-9人減、平成8年-8人減、平成9年8月まで3人減で、人口流出に歯止めがかかりそうな傾向を示している。

 

 

 

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