第4節 (長野県)上村
長野県南部の伊那山地を貫く悲願のトンネルが開通し、山奥の秘境“南アルプスー番地”の上村に、今、活性化への追い風が吹き始めている。
第1 上村の概況
1 地勢、自然
上村は長野県の下伊那地方・遠山郷にあり、静岡県と県境を接する県最南端の村。3,000m級の南アルプス西山ろく最深部にある奥深い山の村で、天竜川の支流である遠山川、上村川沿いの標高500m〜1,000mに集落が点在している。村の西側は標高2,000m級の伊那山脈で、その西側に天竜川が流れる。南アルプスと伊那山脈にはさまれた山奥の秘境、自然の美しさと住む人々の人情が特色の過疎の村である。
標高が高く山岳地帯の割には気候は温暖で、特に厳しくはないが、四季に大きい差がある。降雪は比較的少ない。
2 人口、産業
人口は881人(平成7年国勢調査)。人口減少が続き、昭和62年の1,009人に比べ1割強の減少率である。
産業は、昭和45年までは農林業が主体だったが、その後は自由化、担い手流出などの影響が強まり、衰退している。山間傾斜地のため耕作面積は少なく、全域のわずか0.7%。98%が山林である。現在、水田はほとんどなく、茶、しいたけ、雑穀類、畜産、野菜類が主体。林業は経営的にほとんど成立たない状況にある。