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5. 住民との面接

住民との面接は、主要地方道下仁田上野線に面したふるさと物産直売所で、某区区長のK氏、なんもく女性懇話会役員のHさん、青年団員で役場職員のO氏の3人と行った。前述のように、南牧村はきびしい状況にあるが、3人ともとても明るく、「商店が消えていくのはさびしいが」という程度の不満しかなかった。町は、郵政省の補助事業である電気通信格差是正事業を活用し、なんもくふれあいテレビ局をつくり、村の自主放送を行っている。前項であげた諸行事も運動会も自主放送番組の題材だが、中継は原則としてしない。それは、中継にすると参加者が減って行事にならないことになってしまうという過疎ならではの悩みがあるようである。このCATVについても、若干の受信料を要するが、「新しい負担ですが、いろいろと便利ですから」と受容していた。都市でもCATVの経営はきびしいのに、過疎の村で何故ということを考える人もあろうが、過疎地域を含む農山漁村地域では、有線放送の長い実績があり、それゆえにCATVが成立するのではないかと思う。

 

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また、面接を終えた後に、南牧を紹介するビデオ(1時間程度の長さ)をみた。物産直売所では、お客にみせるため、たえず放映しているようである。このような映像に接し得ること、自然公園等がつくられており、ハイ・グレードの施設があること、高齢者福祉施設をはじめ公共施設が一応整備されていることも住民に安心を与えている。

村は、?@今後人口が増加すると想定される集落を60集落中2集落、?A今後人口は横ばいに推移すると想定される集落を49、?B今後人口が減少すると想定される集落を9としている。?C再編整備の必要があるとする集落はないというのが、村の答えである。人口増加を想定する要因については、定住促進団地等による住宅の整備が進んだため、福祉環境が整っているため、公共事業等の従事者の増加が見込まれるため等をあげる。工場等への通勤のみならず、隣町等に「出耕作」をしている人もいるが、集落の再編整備に直結するような移住は行われておらず、高齢者世帯ばかりになっても、集落は消えることにはならないようである。

 

 

 

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