この調査研究でも、農林業センサスの場合と同様に、集落を「地域住民の定住維持のための最小の地域単位であり、住民の日常の生産と生活にかかる様々な共同、相互扶助の人間関係が古くから継承、維持され、また必要に応じて新しく形成されていく地縁的な集団」いわば「住民生活の基礎的な地域単位」として捉えることとした。
このような集落は、共同作業や水利・共有林の管理等の生産面、冠婚葬祭等の生活面で密接に結びついているが、自治会等の自治組織の基礎的な単位であったり、市町村の行政においても基礎的な地域単位として機能している。このため、市町村においては、集落単位に、住民基本台帳の人口、世帯などを集計しているケースが多い。
このような集落の行政上における名称は、端的に「集落」と称している市町村が多いが、「行政区」「行政集落」等の名称を使用している市町村も多くある。(第3章各節参照)
過疎地域市町村は、すべて農林業センサスの対象市町村であることによって、この集落の概念は、市町村職員に体験的に理解されているようである。第2章及び巻末参考資料にみるように、調査対象となった市町村が、過疎地域市町村の数自体が追加指定によって、表の1,143(平成2年)に比べ88増の1,231となっていること、また、農業集落ではない集落があることによって、不明の11市町村を除いても、平成9年4月現在で47,599となっており、表の数値(平成2年40,836)より16.5%多いが、連続性は、おおむね保たれているとみてよかろう。
3. 集落についての既往の調査等
ところで、過疎地域は、人口の著しい減少が続き、高齢化の進展、若年層の欠落がいちじるしい。この状況のなかで集落の現状を把握し、集落を単位として行われていた共同作業あるいは冠婚葬祭がどのようになっているか、市町村はどのような展望や方針をもっているか、また、集落問題の視点から、伝統行事の普及啓発を含む地域の新たな文化の創造の側面、自然環境保全・活用の側面についてもみてみようというの