第1章 課題と目的
1. 集落の役割
都市においても、地域コミュニティ、すなわち、地域的な連帯感にささえられた新しい近隣社会の役割の重要性が言われているが、非都市地域すなわち農山漁村部では、集落は、いわば地域社会の基礎であり、住民の生活・生産に大きな役割を果たしていることは、あらためて言うまでもない。
我が国の市町村のほとんど全部は、江戸時代までの自然村的なものから、市制・町村制(旧憲法下)、地方自治法(新憲法施行後)に基づく行政主体としての地方自治体として現在に至るまでの間に、市制・町村制施行に先立っての明治の大合併と戦後地方自治体の行政責務の拡充とみあって行われた昭和の大合併の二つを中心として、合併の経験を経ているものが多く、しかも従来の町村が、小字・大字となって、住民の地域生活のうえで一定の役割を果たしている場合が多い。また、そのような小字・大字よりもさらに小さな単位の集落が住民の地域生活、共同作業において、住民のために一定の役割を果たしている場合も多い。
そのようなところから、過疎地域対策の立法においては、最初の昭和45年制定の「過疎地域対策緊急措置法」、次の昭和55年制定の「過疎地域振興特別措置法」、現行の平成2年制定の「過疎地域活性化特別措置法」のいずれにおいても、集落の整備を重要課題としてとりあげ、「基幹集落の整備及び適正規模集落の育成を図ることにより、地域社会の再編成を促進すること」を目標として揚げ、都道府県知事の定める過疎地域振興(活性化)方針・計画、市町村が知事の方針に基づいて定める過疎地域振興(活性化)計画のそれぞれにおいて、「集落の整備」について定めるべきこととしている。
2. 集落の定義
集落については、農林業センサスで従来から把握されてきた。同センサスによれば、農業集落数は、表のように把握されている。