日本財団 図書館


これは、スタッフの直属の「長」の立場に立ち、スタッフの人事の影響力を及ぼすのだが、この「人材」がスタッフの「兄姉」の温もりと仕事の「先達」としての厳しさ両面をもってこそスタッフ、殊に若いスタッフが育成されていくのである。

専門知識、専門技術力を持ち、積極的に指導しながら或る段階から見事に、若いスタッフに任せてみる度量が必要だ。「任されてこそ」若者は成長する。スタッフは「仕事」に魅力を覚えるのだ「責任はオレが取る。やってみろ。」このセリフを心から吐ける人材をここに必要とする。

(3) スタッフ

運営スタッフ、舞台スタッフ共に全てに「積極的」であることだ。そして独善や独断は大きな誤りにつなかりやすい。つまらないことでも「相談」してみることだ。納得のいかない否定のされ方をしたりとことん話し合うがいい。

あなたの正論がT・P・0に叶い、財政上からも可能性があるとすれば、必ず「仲間」「理解者」が生まれてくる。1人が2人になり、次々と増えていく筈だ。

あなたの「情熱」は必ず人々を動かすだろう。私も受け売りのことばだが「ホウ・レン・ソウ」は確かに大切なことである。

「報告する」「連絡をとる」「相談する」全スタッフがいつも心しておくことであろう。

 

(検証2-建物)

私は若い頃に建築家というものは、特に劇場建築家というものは「外観」と「ロビー」だけの知識を有して「舞台」への研究など皆無ではないかと憤ったものだ。

時には「舞台人」を困らせるためにわざわざな設計をしたのではないかとさえ思えたこともある。その思いは近年は少なくなったが皆無にはなってはいない。時々びっくりするような不便なホールにお目にかかるからだ。「搬入口」と「舞台」の係わり方は重要で、これがホール建設の第一に考えられるべきなのに、今尚とんでもない関係をみたりする。設計者の猛省をうながしたい。ホール建設を考えた時から、経験豊富な舞台側助言者として、行政側は考えていくことが、より機能的でより経費の節減につながることで明白である。

 

(検証3-財政)

勿論、ホールの基本的な財政のことではない。「自主企画」などの新しい試みに対してのことである。

現在のように国内全般が経済に不安を抱いている状況下ではいろいろ新企画は難しいであろうが、しかし「触覚」を磨いて「情報」を広く求めていけば、パック・アップしてくれる「助成金」はあるものだ。

しかし「助成金」に頼ることは非常に行動しやすくなり、実践に集金力の苦悩がつかない分、次回からの行動が鈍くなり、力が弱くなる。

ホールに限らず、どんな芸能団体も集金にエネルギーの大半をとられているのが実情だが、実はこの集金行動こそ「土地の人々」とより深く広く接しられ「ホール」の存在と意義を「情熱」をもって伝えていく「広報行動」になることを忘れてはならない。この行動によってつちかわれた「体力」が次からへの大きな飛躍のバネになる。

又ホールの全スタッフが、自分達の専門技術、分野の穴の中にもぐりこまない為にもこの「財政」については常に知る努力を怠ってはならない。

この「財政」知識こそが、「土地の人々」をとりまく社会の動きそのものの、「影」であるからだ。

 

(検証4-組織)

組織が有機能的に動いていない事が多い。「土地の人々」の声を常に汲みとり反映させ、実践に移していくために最短、最有力の効果が上げられるのは、組織がどう有機的につくられているかで

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION