にカゴがありまして、この上に乗って下にコロが付いており、その横にアウトリガーを確実に固定する。これを地面につけてでないと、上がっていって作業はできないということなんです。
最後にP6とP3なんですが、これは名古屋の愛知芸術文化会館ですね,そこでこのブリッジに上がっておりました絵を見ていただくと、上手のほうでシュートをしておりました女性です。この1列に2名ずつ乗って、真中から上手、下手を分けまして2人乗ってるんですが、この下手のほうにも1名女性が乗っておりました。これもうちの社員だったわけですが、その上手のほうに乗っていた女性が、シュートをやっている最中に転落したという事故が起きました。これを聞いたとたん、私は東京にいたんですが、すぐ東京から駆けつけたわけなんです。その日の夕刊には、愛知芸文75mから女性照明家転落死なんていう記事が載っていまして、高所の作業で安全ベルト、ヘルメットの指示をしていなかった事業者丸岡寿昭を取り調べ中という記事がドーンと出てまして、テレビでも放映されました。実際に、その起きたことに関しては、我々の不注意で反省は十分にしているわけですが、ここでいろいろな対応としましては、できるだけ外部に迷惑をかけないで対応していこうということ。その中でも、1番に我々が対応しなければいけないのは遺族ですね。この人は、1年前に結婚して夫がいたわけですが、その親元含めまして遺族の方の保障という問題です。やはり警察と労働基準監督署が動いてくるわけですけども、警察の場合には、まず本人が自殺したんではなかろうか、次に誰がが突き落としたんではなかろうか、次に横に乗ってた人がゆすったんではなかろうかというような調べをしていくそうなんですけども、まあ警察のほうからは、会館あるいは主催者に対しまして、ともかく遺族の方の保障を早くしろと、そうじゃなかったらお前達も手をしばるぞと言うそのことがばんと出ました。それはまあ当然、金額ということになるんでしょうけども、とにかく最大限の保障をして分かっていただきました。そして、我々の会社とか団体の中で、作業マニュアルというのを出してるわけですね。夫が、その彼女の部屋を整理したら作業マニュアルが出てきたんですね。ああそうか、やっぱりそういうことを知っていたんだね。と言うふうに夫は理解を示してくれました。そんなことでやはり事業者たる我々の中では、作業マニュアルなるものを入社したときには必ず出してあるんです。それから労働基準監督署の方は、私も2日間事情聴取を受けました。ただ話の内容の中で、その舞台の中というのが、労働基準監督署の方ではまるきりわからないということがあります。そこで、この照明のブリッジ、これの見解というのもいろんな法規に沿った仕様で作っているわけですが、労働基準監督署の管轄ではないという答えが出ているわけですね。似ているものは何だろうといったときに、窓ふきのゴンドラ、これが労働基準監督署の機械類という中での範中に入っているそうで、1つ1つのアングルとか、そういう中に刻印が入っているそうです。まあ国で認めたという刻印が入って、それを設計の段階から出して労働基準監督署で認めたものを作っているが、このブリッジに関しましては、労働基準監督署ができる以前から劇場があって、こういう設備はもう昔からあったそうです。
それと6番の中で、これからホール建設とか改修するという部分で、そのブリッジっていうのはなかなか難しいんですけども、今1番恐いのが、その猿バシゴ、それとフロントの脚立と言うのは、このごろは3灯ついたのが3段、その下にもあるかと思うんですが、今はこの3灯ついたのがずらっとついて、脚立でシュートをする。脚立というのは、いちばん上に乗って立つというのは非常に危ないし、けっこう落ちてるんですね。そんなことで、後ろにキャットウォークを全部つけるという方向で、フロントがたくさんあるっていうのは照明家にとっていちばんいいんですけども、後ろに1列ずつでもキャットウォークを付けるという方向で進んでほしいという希望があります。それから、猿バシゴも昔のままなんですね。それと特に、今、私達が忘れてていけないと思い出したのが、非常に女性が多くなりました。女性も男性と同じように仕事がしたいということで、男性がやってることを女性にさせないのかとか言われるんです。実際に女性が多くなってきており、これからも確実に増えます。というのは、男性で照明をやりたい人がいなくなってきたんです。そんなことがあって女性という問題が出て来るわけです。専門学校なんかでも60人いる教室の中に、男性が20名、女性が40名、こういう現象ですから女性が増えます。そうしますと、それは男性と同じようなことでいいかもしれない。いいかもしれないけど、やはりその配慮というのが、我々の男社会の中で、どうも忘れてたなという問題に気が付いてきているんです。そこで今、名古屋でも、どういうルートで事故の書類が会館に回ってきたかといいますと、まず労働基準監督署から愛知県知事に言ったわけですね。愛知県知事のところから、愛知芸術文化会館の所長のところに来た書類なんです。こんなことがあったので気を付けよということで、愛知芸文では高所の場合には、必ず安全ベルトと安全ベルトを掛けるワイヤーも張ったよということ。それともうひとつは、ヘルメットという問題も出ました。ヘルメットも仕込の最中はやってください。そして外すときは、舞台監督の指示で外してくださいということですが、これが結局守られない。それは、我々がヘルメットをつけてやることになれていないということがあります。ただ、仮設の現場、体育館などは、ヘルメットの指示は出てますから確実にやっておりますが、ホールということになりますと、どうもしにくいということがありまして、まだ上でこの作業をすると汗だくになるので、なかなか今の建設用のヘルメットはかぶってくれません。そんなことで、我々はみんなと相談して、山岳用山登に使っている外国製の物なんですが、これが非常に軽いとかひさしがないとかの利点があるので、これを今使っているのだが、これは日本の労働基準監督署が決めたものではなく、実際には検定品ではないんだけれど、今はこの輸入品を使っているわけですが、こういうのを日本の検定品にと言っておりますが、とてもこれは無理だなということで、やはり規制がきびしいようですね。ただ法律には事業者からヘルメットをかぶりなさいと言って本人がいやだと言ってかぶらなかったら、本人が罰則なんですね。これが、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金というようなことになるわけで、これも教えなければいけないけども、やはり自主的にかぶるように、この業界で教えていかなければいけない話をしております。また、そういった方向に向かうだろうと思いますが、ただ会館としても、そういう事故が起こった場合、何らかのリスクがあろうかと思います。そして、そのリスクを回逃するにはともかく、そのように言っておくことによって、ひとつは安らぐというのかな、これを言わなければ配慮がたりなかったということになりますから、責任がかかってくると思うんですね。
次に、その持込みスピーカーの、いわゆるフロントスピーカーを組んでるとき、その最中に、ギリギリのところに組むもんですから客席に落ちるという事故が増えてきました。できることならば、オケピットがあるところならば、オケピットを舞台のところまで上げて、ここのところを広くした状態で組んだりしているわけですが、そういうところがない会館では、何とかしてそのぐらいのスペースに台を設置し、スピーカーも乗せるし、人も乗るということで、ここに舞台と同じ高さの台を設備していただくということはできないかなとお願いをしたりしているわけですけども、そこから落ちるという事故も増えてきたわけです。