のであれば早いと思います。今のような、やはりべっちん幕、これがホールでは1番多く使われているわけですが、これも防災は2年程前にしたと思いますが、ポーライトの熱で色が変わりましたが、このぐらいパーライトの熱が強いということです。それともうひとつ、強いスポットがあるんです。模様なんかを出すものなんですけど、レンズが前に2枚入っていて、ちょうど2枚のレンズの前で焦点が結ばれてしまうわけですね。そうしますと、焦点のあったところに熱が出るというのがありまして、これ(ITO)はそれほどでもありませんが、外国の製品で実際に仙台の会館で起こったのがエリスポットという750Wのスポットです。まあ、レンズが2枚あって、その前で焦点を結んでいるものが、文字幕にあたって集光熱で焼けたということがあります。パーライト特に中割幕のうしろに仕込んだ場合に、中割幕を開けたときの風の影響で、ガバッとかぶさってしまい、それを知らないでいて、燃えるということがあった。広島の場合も、そのスポットの位置が燃えたんだけれど、それを誰も見ていなかった。気づいた時には、もう大分上の方へ行ってしまっていた。そのときに消火器で消し掛けたけども、消化剤がもう上まで届かなかったので消火栓を出して来て、水を掛けたんで、下が水びたしになったというようなことがあります。それで、我々が昔から教えられているのは、ともかく上のほうで燃えた場合、それが吊り物でおろせるものなら、「必ずいちばん先に降ろせ、ステージの上に降ろして消せ」ということを教えられております。そこで、このパーライトの集光熱によって燃える照射距離が3Tの場合、今はもうかぶせてしまいましたが、30秒ぐらいで煙が出はじめるという。これは、公文協からの実験をやった結果です。我々も独自にやってみますと、同じことになりました。それと、普通のスポットライトでも、普通のレンズ付きのスポットというのは、そんな熱ではありません。熱で焼けるということはそんなにないと思うんですけど、この上(灯体の外の部分)が300℃以上の熱になっておりますから、当然、幕がかかってますと、その熱で焼けるということがあったりします。ですからこの場合、特にスポットの光の集光熱で焼けるということが、ちょっと増えてきておりますので、注意をしなければいけないと思っております。
それから次に網元の事故(P8とP9参照)、これも非常に多くなってきております。それでP9のは、新宿コマで起こった事故なんですが、これは手動式の網元ではなくて、モーターで動かす電動式のバトンでした。当然、美術バトンだったんですが、そこに照明を吊って撤去のときに取り外すということで、その時に100kgぐらいのアンバランスが生じるわけですけども、バトンのほうにロープをつけまして、一人がそのロープを持っていたということなんです。これ本来は、電動でも一方にシズ枠があり、その荷重にあわせてシズを抜いたり抜かなかったりしなければいけない。そういう方式のものだったわけで、本来、これはギャラリー、フライギヤラリーといい、ここにもあります。そこで、抜き差しをするというのが常識なんですが、面倒だとのことでロープを掛けて、バトンの側に自分の荷を掛けていたということなんです。そうすると、その機械のほうで実際には、ボタンですからポンと押す、バトンが上がる。止めたり、スイッチを入れたりしながら、これも今までこういうことをやっていたそうなんだが、たまたまこのシズのほうが重く、一生懸命バトンの方を押さえていたが、ブレーキが効かなくなった。そのために、シズがドーンと落ち、パイプがバーンと上へ上がるという現象がおきた。その時に、ロープごと、この人が上まで引っぱられた。コマ劇場の場合、ここでもそうですけど、バトンとバトンの間隔に、セットが目いっぱい吊ってあります。バトンとバトンの間隔が20cmぐらいしかないのかな、そこにパネルがいっぱい吊ってあります。そういう中の1本のバトンにロープを掛けましたから、そのまま引きずられていった。引きずられていった理由なんですが、よく見うけられるのがロープを手に1回ぐるっと回して持ってる場合とか、腰に1回ぐるっと巻くだとか、そういうケースがあろうかと思うんですが、そのまま引きずられていった。どうしてそのまま引きずられていったのか、手を放さなかったんだろうかということなんですが、その答えが返って来たのは、その方が死亡したから答えはなく、他の人の話では、その人は責任感の強い人で、自分がぶら下がっていれば止まるかもしれないと思って、ぶら下がっていたという答えが返って来て、実際の言葉は返ってこなかったんです。まあ、想像しますと、おそらく手にロープを巻いて持っていて、一瞬にして引っぱられたものだからロープが解けるわけがな