但し、このアンプの最大負荷のみの計算で電力設定を行うと、持ち込むアンプその他使用機器を勘案すると、過剰計算になったり、容量不足を生じることがありますから、機器のスペックを把握した計算が必要です。
要望を受けるホール側エンジニアとしても、この知識は必要であり、ただアンプ、その他の機器を積算のみでの電気用量を真に受けて給電することは、過剰送電のケースとなります。そのホールの電力事情の実体から適切なチェックが必要です。まとめとして、機器スペックによる積算、駆動状況から勘案する定常消費電力から設定されるべきものと考えます。
(3) 抵抗の接続
抵抗を直列につないだり、並列につないだりする場合において、次の計算式を知っているとかなり現場で役に立つ場合があります。
以上の算式から抵抗の直列接続は、ただ単に足し算をすれば良いのですが、並列接続の場合は、手間が掛かりますが上記の算式を使って計算して抵抗値を出して下さい。
この算式を利用してスピーカとアンプの接続関係を設定することができます。本来は、インピーダンスといって少し複雑な定理で計算するものですが、現場で電卓をと言う訳にもいきませんから簡易に利用出来る計算式として利用して下さい。
例えば8オームの負荷の時に200Wのパワーを出せるパワーアンプがあったとしましょう。これに16オームのスピーカを接続すると何Wの出力を得る事が出来るでしょう。ここで、電力の定義P=V/Rから100Wの出力を得ることができます。さらにこの算式を応用して、このアンプに8オームのスピーカを2本直列(シリーズ)に接続すると、合計16オームとなり100Wの出力となります。
また、8オームのスピーカを2本並列接続(パラレル)にするとどうなるでしょうか。計算によると4オームとなりますから、電力の定義から400Wの出力を引き出せることになります。このほか、直列、並列接続(シリパラ)方式など意外とスピーカの接続が、計算により正しい接続方法を理解することができます。
(4) デシベルの話
音響機器の運用で切り離せないものにデシベル(dB)という計算用語があります。
計算式を以下に述べますが、高等数学なのでこれを理解出来る人は普通、数学者なり物理学者となっている事でしょう。失礼かもしれませんが、皆さんはそこまで学問を極めていない事を前提にしたお話しとなっています。
さて、デシベルとはに入りましょう。デシベルとは2つの電圧や電力を比較する際に使う単位で以下のような計算式が成り立ちます。