の特徴のひとつであると考えて行く必要があると思います。現状機構と言うのは難しい問題ですから、いろんな条件が入って来ますから、一概には言えませんが、そういうふうに考えていただけたらと思います。
(4) 照明を作るとは(デザイン・プランニング)
次に、照明を創るとは、いわゆるプランニングということになるんですけれど、日本でこれを志して何人の人が飯が食えているか、実は、日本では飯は食えません。日本の場合は欧米と違ってすべてが現場から上がって来た人です。現場でコードを修理したり、レンズを磨いたりした人がなぜかデザイナーになっている。欧米の場合は二つの道があって、デザインとオペレーターの関係です。オペレーターの関係は電気屋です。こっちはデザインです。オペレーターはユニオンに入らなければならない。それぞれのユニオンから仕事が入って舞台を創る。デザイナーは自分の仕事を劇場でオペレーターに渡すと後はノータッチ。その代わりオペレーターは忠実にそのデザインを実行する。
基本的にはユニオンが全部仕事をくれるようになっています。日本とは全然違う。だから日本ではデザインでは食えない。少しさみしい気がしますが、そういう点では僕はまだまだ趣味の段階だと考えていますから「すきならええやん」と言う感じですね。自分のために、自分の教養を膨らますためにやったらいいと言うふうな気がしています。
創るということは、先程言いました創造力とか力をもってわたしの場合は創るんです。他の人達はまた違う方法をもっているかも知れません、こっちも人もまた違う方法をもっているかも知れません。僕は何でもいいと思います。ただ、そこ結果要求された夜なら夜、夕日なら夕日が出てくればいいんですから。いかに現実に近い形か、それが抽象的であってもいいです。ホリゾントに赤を当てて夕日でもかまわないです。その人がそう感じたらかまわないと思います。ただ、プランニングの場合はお客さんが「あれなんや」と言うことになると去って行かなければなりませんけれど。そう言う世界です。
(5) 現在の照明技術の動向(技術や設備)
次に、現在の照明技術の動向と言うことで、今までお聞きいただいた中でおおよそ客観的に見ていただきますと、確かに規模も上がっていますし、お金さえ出せば何でもできますが、コンピュータを導入していろんなことをやる。コンピュータの導入ということはデジタル化と言う問題があるわけですが、アナログというのは皆さんご存じのとおり割り切れない永遠の数字ですよね。我々が扱う仕事というのはアナログですよね。感情と感覚というのはアナログの世界です。劇空間というのはアナログです。それをデジタルの世界で操作するわけですから当然ギャップが出て来ます。
照明のコンピュータというのは1入れたら1出て来てくれないと困るわけで、夕方のシーンを入れて朝が出て来たら困るんです。照明のコンピュータは1+1が2では困るんです。1出てくれないと困るんです。そんな単純なことが一式何億円ってするんですよ。照明が使うコンピュータは答えは要らないんです。だから、機能を使っているんです。操作系の合理化をするものだと思っています。明かりの創り方は従来からかわっていません。それを補助する機構操作と言ったものが変わって来ただけなんです。コンピュータは最初は全部指示してやらなければなりません。それがややっこしいのです。メーカーによってボタンが違ったり、名前が違ったりしてややこしいだけなんです。1つの回路、そういう機能だけをたどって行けば非常に簡単ですから臆せず触れて行ったらいいと思います。そんなことで機構設備については操作系についてはまだまだ発達して行くと思います。合理化は進んで行くと思います。一番最初に照明の世界にSCR(半導体の調光器ですが)を導入したときに問題になったのは人員削減ということでした。技術は上がって行きますが、ほどほどに導入したほうがいいと思います。とりとめめのない話になりましたけれど、今後の仕事の中で生かしてもらえたらと思います。